災害に強いコンビニ、太陽電池と蓄電池で営業可能スマートグリッド

サークルKサンクスは停電と節電の取り組みを相次いで開始する。停電には太陽電池と蓄電池の組み合わせで取り組む。電力センサーとデータ収集で効果的な節電を進めていく。

» 2012年02月17日 17時30分 公開
[畑陽一郎,@IT MONOist]
災害に強いコンビニ、太陽電池と蓄電池で営業可能 サークルKサンクス

 停電で苦しむのは一般住宅やオフィス、工場だけではない。商業施設も同じだ。太陽電池モジュールやリチウムイオン二次電池モジュール(蓄電池)の低価格化、他品種化が進む中、コンビニエンスストアでも太陽電池と蓄電池を組み合わせたエネルギー対策が進み始めた*1)

*1)太陽電池モジュールだけをコンビニエンスストアで利用する取り組みは2000年以前から進んでいる。ローソンは2010年6月に太陽電池モジュールと蓄電池を組み合わせた店舗を「創エネ店舗」として展開し始めている。

 サークルKサンクス*2)は、緊急時の電力確保に向けた取り組みを2012年2月18日から開始する。太陽電池と蓄電池を直営店舗の「サークルK一宮花池店」(愛知県一宮市)に配置した。

*2) サークルKサンクスの店舗数は6242店(2012年1月末時点)。

図1 産業住宅用リチウムイオン蓄電システム 容量は3.2kWh。寸法は幅560mm×高さ630mm×奥行き600mm、重量は92kg。出典:パナソニック

 パナソニックの業務用蓄電池(容量3.2kWh、図1)と、パナソニックの太陽電池モジュール(容量5kW、年間予想発電電力量4819kWh)を組み合わせた。これらの機器を自動切り替え機能を備えたバックアップ切り替え盤に接続する。

 平常時には、太陽電池モジュールで発電した電力を一部蓄電する。夜間は店舗正面のファサード看板やポール看板の照明に全て使う(図2)。

図2 平常時の電流の流れ 太陽電池モジュールからの電力を日中、蓄電池に送り、夜間の看板照明に利用する。青線は太陽光と蓄電池の電力を示す。出典:サークルKサンクス

 停電時は、自動動作するバックアップ切り替え盤を活用する。日中であれば、太陽電池モジュールからの電力をPOSレジ(1台)やストアコントローラー*3)、一部の照明、蓄電池に振り分け、夜間は蓄電池からの電力を店内で利用することを計画している(図3)。

*3) ストアコントローラーとは、商品単価や商品コードを記録し、POSレジや在庫検品用のハンディーターミナルなどの機器と連携して店舗業務を管理するPC。

図3 停電時の電流の流れ 日中は太陽電池モジュールと蓄電池を組み合わせて利用し、夜間は蓄電池だけに頼る。POSレジとストアコントローラーでの蓄電池電力は当初利用しない。「今後の利用を検討中である」(同社)。出典:サークルKサンクス

消費電力センサーを使った省エネの取り組みも

 同社は節電に関しても新しい取り組みを始める。電力センサーとデータ収集装置を組み合わせて、無駄な電力消費を突き止めることが狙いだ。2月27日から「サンクス西千葉駅前店」(千葉市稲毛区)で開始する。

 大型設備(冷機)の他、カウンター器具など全ての設備のコンセントに合計数十個の電力センサーを取り付け、消費電力量を常時測定する(図4)。電力データを収集、分析後、店舗オペーレーションを最適化することで、消費電力量を5〜8%削減できると予測する。「小口照明などの無意識に利用している電力の洗い出しを狙う」(サークルKサンクス)。

図4 電力量の測定結果 コンセントごとに消費電力データを収集し、節電に役立てる。出典:サークルKサンクス

 サークルKサンクスは、両店舗の運用データを収集し、効果的な利用ノウハウを蓄積後、他店舗で展開を進めていく計画だ。


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