東北の8つの市町村がスマートコミュニティ構築へ、9月までに基本計画を策定スマートシティ

岩手、宮城、福島の3県にある8つの市町村が、経済産業省の補助金を受けてスマートコミュニティの構築に動き出す。東芝や富士通などが協力会社として加わり、エネルギー管理システムなどを供給する予定である。

» 2012年04月18日 13時18分 公開
[石田雅也,ITmedia]

 経済産業省が実施する「スマートコミュニティ導入促進事業」は80億円の補助金を使って、東日本大震災の被災地3県に、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを活用したインフラを構築する国家プロジェクトである。その対象になる地方自治体として8つの市町村が選ばれた(図1)。

ALT 図1 経済産業省の「スマートコミュニティ導入促進事業」の対象に選ばれた8つの自治体と共同申請者

 各自治体は9月までに基本計画(マスタープラン)を策定し、計画が認定されると実際のシステム導入にかかる費用に対して補助金を受けることができる。設備の導入費用として5億円以上が必要な規模のプロジェクトに限られており、費用の3分の2が補助金として支給される。4年後の2016年3月までに導入するシステムや機器が対象になるため、計画通りに進めば、今後4年以内に東北3県の複数の地域で再生可能エネルギーを活用したスマートコミュニティが形成されることになる。

 補助金の対象になるシステムは7種類が規定されている。太陽光発電などの再生可能エネルギーシステムをはじめ、電気と熱を生成できるコージェネレーションなどの分散型エネルギーシステム、蓄電池システム、電気自動車や燃料電池自動車を中心とした交通システム、電力流通システム、地域熱融通システム、そして地域全体をカバーするエネルギー管理システムである。

 関連するシステムや機器が多岐にわたるため、各自治体はメーカーや電力会社などと共同で基本計画の段階から取り組む。宮城県の石巻市は東芝と日本IBM、福島県の会津若松市は富士通と協力関係を結び、両市のプロジェクトには東北電力が加わる。そのほかの市町村のプロジェクトにも、トヨタ自動車などスマートコミュニティに注力する大手企業が参画する。ユニークなところでは、宮城県の気仙沼市が地元の水産加工業者を中心にプロジェクトを推進する。

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