「原油換算で500kl以上」省エネに寄与する設備に補助金、公募受付開始補助金

経済産業省は、工場、事業所を対象にエネルギー消費量節減に役立つ設備の導入を補助する支援金を出す。導入する機器の指定はないが、消費エネルギー量の節減目標を必ず達成しなければならないなど、さまざまな条件が付く。

» 2012年04月24日 00時41分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)は「エネルギー使用合理化事業者支援補助事業」の公募受付を始めた。締め切りは2012年5月21日。予算総額はおよそ160億円。

 この補助金制度では、工場や事業所が消費するエネルギー量の節減に役立つ設備の導入を支援する。設備自体の購入にかかる費用だけでなく、設計費や設置工事にかかる費用なども補助する。

節約目標を達成できなければ補助金返還を求められることも

 公募対象は法人格を有する事業者。補助対象の機器や設備の指定はない。ただし、エネルギー節約量の目標を達成しなければならない。目標は。既存の設備の置き換えによって、工場、事業所全体でエネルギー使用量を1%以上節約すること。または原油換算で500kl以上のエネルギーを節約すること。

 補助を受けることが決まり、設備を導入したら、1年間運用してその効果を測定し、報告しなければならない。計画通りにエネルギーを節約できていないときは、補助金の返還を求められることもあるという。

 補助率は補助対象経費の3分の1以内で、申し込み1件当たりの補助金上限は年間50億円。補助金支給額が100万円に達しないものは補助対象外とする。応募が多数になり、予算総額を超える場合は、補助金の減額もあり得るとしている。

先端技術を駆使した設備が対象

 SIIは、学識経験者や関係分野の専門家で構成した審査委員会で、申し込みを審査し、補助対象を決める。審査のポイントは多岐にわたるが、「技術の先端性」「省エネルギー効果」「費用対効果」が特に重要になる。SIIは審査の結果、交付対象となった事業者名、事業概要などをWebページで公開する。

 一般に、先端技術を活用した省エネルギー設備は、長期間の運用に耐えられるか判断しにくいなど、導入を踏みとどまらせる要因を抱えている。市場に十分に普及しているともいいにくい。

 十分に普及していないという欠点は、設備が高価になってしまうという欠点につながる。投資回収期間が長くなり過ぎ、費用対効果が低くなってしまうのだ。今回の補助金は、先端技術を活用した設備の導入を促し、導入例を増やすことで実績を作り、新しい形の省エネルギー設備の市場を作ろうという狙いがあるとみられる。

 政策的な意義も評価する。例えば、中小企業のエネルギー消費量削減にも利用できるものであるということや、売上額に対してエネルギーにかかるコストが10%以上の企業による取り組みであるということなどが評価ポイントとなる。

 加えて、設備導入に当たっての資金調達計画や工事計画などに不備はないかといった点や、申し込み企業の財務状況もチェックする。申し込み企業は、エネルギー消費量削減の取り組みを長期にわたって続けられるだけ財務状況が健全であることをアピールしなければならない。

設備増強になってはいけない

 導入する設備を選定するときは、エネルギー消費量削減だけを目的にして選ばなければならないという条件もある。新たに導入する設備は、それまで使っている設備よりも出力や能力の面で同等でなければならない。新設備導入に合わせて生産能力を増強しようという計画は通らないのだ。

 そして、今回の補助金はあくまで設備の導入に対して支給するものであり、設備の追加や運用の工夫によってエネルギー消費量を削減するという申し込みは審査対象外になる。例えば、エネルギー使用量を計測する機器を導入するという申し込みは対象外だ。

 ほかにも、特定のメーカーあるいは機種を指定して申請してはいけないなどの決まりがある。

全国8都市で説明会

 SIIは、補助金申請の手続きを解説する説明会を全国8都市で開催する。説明時間はおよそ2時間の予定。開催日と会場は以下の通り。4月23日に東京の東京国際フォーラム(開催済み)、4月24日に名古屋の名古屋国際会議場、同じく4月24日に大阪の梅田スカイビル、4月25日に札幌のTKP ガーデンシティ札幌きょうさいサロン、同じく4月25日に広島の広島国際会議場、4月26日に香川のかがわ国際会議場、4月27日に仙台のTKPガーデンシティ仙台、同じく4月27日にJR九州ホール。東京を除くすべての会場で、10時30分から受付を開始し、11:00から説明会を開始する。

 4月23日の東京会場では、午前、午後と2回説明会を開いた。午前の部は10時に受付を始め、10:30に説明会を始めた。午後の部は13:30に受付を始め、14:00に説明会を始めた。

 東京では5月8日にも説明会を開く、会場は同じく東京国際フォーラム。10:00受付開始、10:30説明会開始の予定だ。

関連キーワード

法制度・規制 | エネルギー管理


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.