貨物船に省エネ照明、1隻あたり2000本以上を設置へ省エネ機器

節電の取り組みが船にも広がり始めた。日本郵船は自動車運搬専用の大型貨物船に、LED照明に近い性能を発揮する省エネ型の蛍光灯を試験的に導入し、航海中の結果をもとに照明機器を全面的に切り替えていく。

» 2012年05月09日 15時37分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 日本郵船が試験的に省エネ照明を導入したのは、自動車運搬専用の大型貨物船「PYXIS LEADER」(図1)で、蛍光灯50本を切り替えた。従来の40Wの蛍光灯と比べて、消費電力を40%削減でき、交換期間も6倍以上に長くなるという。今後約1カ月間の航海中に明るさや耐久性などを検証した後、今夏には船内に2000本以上ある照明機器をすべて省エネ型に切り替える予定だ。

 自動車運搬用の貨物船はドライバーが自動車を1台ずつ運転して積み込むため、搬出入の際に船内を明るくしておく必要がある。しかも自動車を格納する「カーゴホールド」と呼ぶスペースが12層に分かれており、さらに機関室や乗組員の居住スペースを含めると、2000本以上の照明機器が使われている。すべての照明を省エネ型の蛍光灯に切り替えると、航海中の全CO2排出量を最大1%程度削減できる見込みだ。

 日本郵船は自動車専用船の分野では約100隻を運航する世界最大手である。今回の検証結果をふまえて、ほかの自動車専用船にも省エネ型の蛍光灯を順次導入していく。従来の蛍光灯と比べてチラつきが少ないことも利点で、自動車を搬出入する時の安全性においても優れているという。

 採用した省エネ型の蛍光灯は、仙台市に本社を置くオプトロムの「E・COOL」と呼ぶ製品である。オプトロムは日本郵船に販売した売上金の一部を、災害復興義援金として仙台市のNPO団体に寄付する。

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