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» 2012年05月28日 16時11分 UPDATE

自然エネルギー:電力会社の新エネルギー拡大計画、2012年度から減速

太陽光発電や風力発電など新エネルギーの供給拡大に注目が集まる中、既存の電力会社の取り組みが2012年度に縮小している。北海道から沖縄まで10社の電力会社で2011年度には合計10か所の太陽光発電所が開設されたが、2012年度は3か所にとどまる見込みだ。

[石田雅也,スマートジャパン]
ALT 図1 東北電力が宮城県七ヶ浜町で5月25日に運転を開始した「仙台太陽光発電所」

 東北電力が5月25日に宮城県内で「仙台太陽光発電所」の運転を開始した(図1)。最大出力は2000kWで、一般家庭の電力使用量に換算して約600世帯分に相当する。当初は2012年1月から運転を開始する予定だったが、東日本大震災の影響で工事が中断し、4か月の遅れでスタートにこぎつけた。

 電力会社10社による太陽光発電所の建設計画が2011年度をピークに早くも減速している。2012年度に運転開始を予定しているのは、仙台のほかに北陸電力が石川県と福井県で建設中の2か所だけである。東京電力は同社で3番目の太陽光発電所を2012年1月に山梨県で開設したが、それに続く建設計画は立てられていない。先ごろ発表した「総合特別事業計画」でも新エネルギーに関しては触れられておらず、太陽光をはじめとして発電コストの高い新エネルギーを拡大する余裕はない状況だ。

 電力会社による新エネルギーの発電量は2011年3月末時点で、風力・太陽光・地熱の3方式を合わせても、わずか0.26%に過ぎない(図2)。しかもその約8割が、東北電力と九州電力の2社による地熱発電である。厳しい経営環境が続く中で、今後も電力会社による新エネルギーの供給拡大は見込みにくい。

ALT 図2 電力会社の発電所数と最大出力(2011年3月末)。出典:電気事業連合会

 経済産業省は2009年8月に「長期エネルギー需給見通し」の修正版を発表して、2020年と2030年までの新エネルギーによる発電量の目標値を引き上げた。2020年には地熱発電を含めて電力供給量全体の5.8%に、2030年には10.2%に増やすことを「最大導入ケース」として示している(図3)。

ALT 図3 「長期エネルギー需給見通し」による電力供給量(2009年8月時点)。「新エネルギー等」には一般企業や家庭による発電も含む。出典:経済産業省

 ただし同時に原子力が全体の4割以上に増える見通しになっており、いまや現実味を欠いている。新たなエネルギーの需給見通しは発表されないままだが、原子力への依存度を大幅に下げざるを得ない状況にあって、新エネルギーの比率を格段に高める必要があることは議論の余地がない。その点で電力会社に期待するのは難しく、一般企業や家庭による取り組みが急速に広がることが望まれる。

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