新たに補助金対象となった蓄電池6製品、最大の蓄電容量を誇る製品も蓄電・発電機器(2/2 ページ)

» 2012年07月19日 06時30分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]
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一瞬たりとも止められない機器を守るため

 ソニービジネスソリューションの蓄電池「ESSP-3001/10」と「ESSP-3002/10」(図4)は、2012年7月17日に補助金対象となったばかりだ。価格はオープン。実売価格は前者がおよそ170万円で、後者がおよそ200万円となる見込み。実売価格から、購入者が受け取れる補助金の額を計算すると57万円程度と67万円程度ということになる。

図4 ソニービジネスソリューションの蓄電池「ESSP-3001/10」。「ESSP-3002/10」も外観は変わらない

 蓄電容量を見るとESSP-3001/10が1.2kWhで、ESSP-3002/10は2.4kWh。定格出力はどちらも1000W。本稿で紹介してきた製品と比較すると正直に言って見劣りする。

 しかし、この2製品にはほかの蓄電池にはない大きな特徴がある。停電時も電気を途切れさせることなく、連続して給電する機能を備えているのだ。ほかの製品を見ると、停電時は蓄電池から住宅に給電を始める前に一瞬給電が止まるものばかり。自動的に切り替わるものでも、給電が一瞬止まることは避けられない。手動で切り替えるという製品もある。

 ソニービジネスソリューションの2製品は、停電になったとしても連続して電気を供給し続ける。これは、社内のサーバやデスクトップPC、店舗のPOS端末など、一瞬でも給電が止まると故障する恐れがある製品に電源を供給することを想定しているからだ。

 蓄電容量が小さいので、電力を供給できる時間は短い。ESSP-3001/10は、800Wの電力をおよそ1時間供給できる。400Wの電力ならその倍に当たる2時間にわたって供給が可能だ。蓄電容量が倍になるESSP-3002/10なら800Wで約2時間、400Wで約4時間にわたって電力を供給できる。しかし、先に説明したようにコンピュータ機器を止めることなく動かし続けることだけを考えれば十分な容量だ。停電後もしばらくの間作業してから、蓄電池からの電力が止まる前に、コンピュータを安全な方法で停止させることができる。

ピークカットやピークシフトにも役立つ

 蓄電容量は少ないが、これら2製品はピークカットとピークシフトを視野に入れた機能も備えている。基本となる運転モードは「UPSモード」というモードで、このモードでは蓄電池につながった機器に電力を供給しながら、蓄電池の充電を続け、満充電状態を維持しようとする。

 UPSモードのほかに「ピークカットモード」と「ピークシフトモード」という運転モードがある。ピークカットモードは、電力会社からの受電をなるべく抑えようという考え方に基づく運転モードだ。蓄電池の充電残量が50%以上のとき、つながっている機器が消費する電力が合計で500Wを超えると、蓄電池から電力を供給する。消費電力が500Wに達していないときは、蓄電池を満充電まで充電しようとする。

 ピークシフトモードは夜間電力をピーク時に利用することを想定したモードだ。夜間に満充電まで充電しておき、7時〜23時までは蓄電池の充電残量が30%以上あれば、充電池から電力を供給する。ただし、このときに供給する電力は、蓄電池につながった機器が消費する電力の半分となる。半分は電力会社からの電力、もう半分は夜間にためておいた電力を利用するわけだ。

 ピークカットモード、ピークシフトモードのどちらも場合も、23時〜翌7時まではUPSモードのように蓄電池につながった機器に電力を供給しながら、充電池を満充電まで充電しようとする。

 蓄電容量が少ない充電池をピークシフト、ピークカットで利用すると、充放電の回数はどうしても多くなる。そこで、この2製品は常温で6000回以上の充放電ができる蓄電池を搭載している。これは、1日に1回充電し、毎日1回ずつ放電すると10年以上利用できる計算になるという。

 サーバやデスクトップPCなどと合わせて使うことを想定しているためか、パソコンから蓄電池の状態を確認し、運転モードなどの設定を操作することを可能にする機能も持っている(図5)。充電残量や蓄電池からの放電量、蓄電池への充電量などのデータをグラフで表示する機能も備えている。

図5 ESSP-3001/10とESSP-3002/10は、パソコンからその状態を確認したり、設定を操作したりすることができる

京セラの製品はニチコン製品と同じもの?

 京セラの製品と同じ日に、ニチコンの製品「ESS-U1SK」と「ESS-UA1SK」も対象機器に加わった。しかし、ニチコンはこの製品をまだ発表していない。同社に問い合わせたところ、京セラの製品とほとんど同じものであるという。

 京セラとニチコンは2012年1月、太陽光発電パネルとリチウムイオン蓄電池を組み合わせたシステムの販売を始めることを共同で発表した。この時、リチウムイオン蓄電池はニチコン製のものを使うことを明らかにしている。

 実際に製品の仕様を見ると定格出力は2製品とも2500W。蓄電容量はESS-U1SKが7.2kWhで、ESS-UA1SKが14.4kWhと、京セラの製品と同じであることが分かる。どれくらいの時間にわたって電力を供給できるのかということについても、京セラの製品とほぼ同じ事が言えるとみられる。

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