基本料金と電力量料金の両方を削減する中堅・中小企業のための本当に効く節電対策(1)

昨年の震災以降、電気料金の値上げや計画停電などの報道が相次ぎ、大手企業のみならず、中堅・中小企業においても、節電対策や電力のマネジメントは対岸の火事ではなくなっている。しかし、どういった機器やシステムを導入し、どのような運用をすればよいのか?お悩みの経営者や企業の担当者も多いのではないだろうか。そこで「本当に効く節電対策」について分かりやすく、ステップを踏んで紹介していく。

» 2012年07月19日 09時27分 公開
[早川憲一/大塚商会,スマートジャパン]

 まず節電対策を実行するにあたり、電気料金の仕組みを覚えておく必要がある。電気料金の算出方法を図1に示す。

図1 電気料金の算出方法

 電力量料金は1か月で使用した電力量で決まるので、分かりやすいと思う。分かりにくいのが基本料金だ。各電力会社は毎日30分毎に使用電力の平均を計測している。この平均電力量の一番大きいところが、その月の最大デマンドとなる。

図2 毎月の最大デマンドと基本料金の適用期間

 上記の図2のように前年の8月が最大デマンドとする。そうすると8月のデマンドによって算出された基本料金が1年間継続されることになる。今年の8月に頑張ってデマンド値を下げると、ようやく基本料金に反映される。

 仮に前年の9月に8月のデマンド値を超えてしまうと、そのデマンドが今年の8月の電気料金まで適用される仕組みだ。要は常にデマンド値を平均的に保つことが、基本料金を上げないコツである(ただし電力会社による特例措置もある)。

 このように節電対策は基本料金(最大デマンド)と電力量料金(使用量)の2つの削減を考える必要がある。それに合わせて節電対策に使われる機器やソリューションも、大きく2つの種類に分けて考えると整理がつく。図3にマトリックスで示してみた。

図3 節電対策と製品・ソリューションの関係

 節電対策として代表的なLED照明をはじめとする最新機器の導入は、電力量料金の削減に直接つながる。一方で「電力の見える化/見せる化」のソリューションも近年、各社から提供され、導入が進んでいる。このような電力マネジメントには、基本料金と電力量料金の両方の削減に効果があるソリューションも存在する。

 こうした機器とソリューションをうまく組み合わせて活用することで、「本当に効く節電対策」になると筆者は考える。そこで次回以降、節電に有効な機器とソリューションに関して、事例を交えながら最近の動向をお伝えしたい。まずは電力量料金を削減するために有効なLED照明などの最新機器について次回に解説する。

連載(2):「LED照明などの最新機器をうまく活用する」

連載(3):「電力の見える化で攻めの節電対策を」

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