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» 2012年07月19日 16時50分 UPDATE

BEMS製品解説(5):多様な形式でデータを提示し、使う人の節電意識を高めるBEMS

BEMSアグリゲータ幹事会社が提供するシステムを紹介する特集の第5回。今回はパナソニックESエンジニアリングが提供するシステム「ECO-SAS DR」を採り上げる。このシステムは一定の目標値(デマンド値)を超えないように機器を制御するだけでなく、消費電力量の集計結果をさまざまな形式で提示することで節電意識向上を狙うなど、多様な機能を持っている。

[笹田仁,スマートジャパン]
図1 パナソニックESエンジニアリングが提供するBEMS「ECO-SAS DR」の主な仕様。需要逼迫時の自動制御を受け入れると補助率は1/2となり、受け入れないと1/3となる

 パナソニックESエンジニアリングの「ECO-SAS DR(エコサス・デマンドレスポンス)」は、契約電力が50〜500kWとBEMSアグリゲータ制度が対象とするビルの大部分を対象としたシステムだ(図1)。

 基本的な機能としては、あらかじめ決めたデマンド値(消費電力量の目標値)を超えないように空調機器と照明機器を制御するという他社のシステムでもよく見られるものが挙げられる。しかしこれでは、ピークカットによる契約電力引き下げと基本料金引き下げしか狙えない。そこで、消費電力量データの集計結果を表示する方法に工夫を凝らしている。

 ECO-SAS DRでは、ビル全体の消費電力量に加えて、分電盤の空調機器につながる回路と照明機器につながる回路で消費電力を計測する。計測したデータは同社が管理するデータセンターに送信する。データセンターでは受け取ったデータを集計、分析し、グラフなどの形で確認できるようにする。確認するには、データセンターにWebブラウザでアクセスすればよい。

図2 消費電力量の推移を示した棒グラフ。照明、空調、コンセント他と、電力を消費している機器を分類して表示している

 消費電力量データの集計結果をユーザーが確認するときに、機器ごとにまとめたグラフを表示して、電力を浪費している部分を見付けやすくしたり(図2)、同規模の建物と比較して改善の余地がどれほどあるのかといったアドバイスを表示するなど、さまざまな形で消費電力量のデータを提示する(図3)。多様な形式でデータを提示することで、ビルで活動する人すべてに節電に対して強い意識を持ってもらうことを狙っている。ユーザーに提示するデータは基本的に10分間隔で更新する。

図3 年間のエネルギー消費量をまとめたグラフ。まだまだ改善の余地があるという診断結果が出ている

 このように、ユーザーの節電意欲を高めるデータを自動で提供することも特長と言える。BEMSアグリゲータ幹事企業各社を見ると、蓄積し、集計したデータを携えて、担当者がビルに訪問して運用改善アドバイスを提供するという企業が少なくない。パナソニックESエンジニアリングは、この部分を自動化しようとしている。希望に応じて、担当者が訪問して運用改善アドバイスを提示するサービスも提供するが、有料のオプション扱いとなる。

 消費電力量のデータをさまざまな形でユーザーが確認できるようにすると、ほとんどの人はそのデータが気になって、チェックするようになるという。同社によると、データを提示するだけでも消費電力量が13%減った例があるという。

 データを提示する方法を工夫した点だけではなく、デマンド値に近づいてきた時の制御方法にも特長がある。一般的なシステムでは、事前に指定しておいた空調機器を停止させる、あるいは空調機器を輪番で停止させるといった手法を採ることが多い。

 ECO-SAS DRでは、空調機器を制御するときはいきなり電源を止めるのではなく、エアコンの運転モードを省電力モードに移行させたり、室外機のコンプレッサーの運転率を下げるという手法を採る。これは、空調機器メーカーが純正品として提供している遠隔制御アダプタを利用する。いきなり空調が停止するシステムよりも、ビルにいる人に不快な思いをさせずに済む。

 さらにECO-SAS DRは、照明機器を細かく制御して消費電力量を抑えるという機能も備えている。照明機器を制御するといっても、単純な点灯/消灯だけではない。光の強さを変える「調光」や、タイマーで点灯時間を制御するといったことが可能だ。

 とはいえ同社は、照明機器を制御することで突然暗くなることを嫌がるユーザーは少なくないと見ている。その場合、照明機器は制御せず、空調機器の制御だけでデマンド値を守るようにする。

 電力会社からの供給量が不足しそうという連絡が同社のデータセンターに入ったら、デンターセンターから各地のビルに入っている同社のBEMSに自動的に連絡が届き、空調機器や照明機器をより積極的に制御して、消費電力量を抑える。その結果、暗くなる部分や暑くなる部分も発生するが、この自動制御を受け入れると、BEMS導入時に受け取れる補助金の補助率が1/2になる。自動制御を拒否して、手動で制御するということにすると補助率は1/3になる。

 ECO-SAS DRは、消費電力量データをさまざまな形で提示する機能や、空調機器をいきなり止めずに、省電力モードを利用する機能、照明の調光機能など、さまざまな機能を活用し、快適な環境を可能な限り維持しながら消費電力量を抑えようとしていることが分かる。しかし機能が多い分、導入費用が450万円と、やや高価になってしまう。

 そこで同社は、契約電力が100Wまでのオフィスビルに向けた「ECO-SAS DR-L」を用意している。導入費用は130万円からとなる。基本的な機能はECO-SAS DRと変わらないが、制御できる空調機器、照明機器が少なくなるほか、照明の制御が点灯/消灯のみになる。

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