キーワード解説「回生ブレーキ」キーワード解説

電車は人々の生活に欠かせないものになったが、走行時に大きな電力を消費するという側面も持っている。最近話題を集めている電気自動車やハイブリッド車も電気をエネルギーとして走行する。電車や電気自動車などの運動エネルギーを利用して発電し、有効活用するブレーキが「回生ブレーキ」だ。

» 2012年08月31日 11時15分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 回生ブレーキとは、電車や車などの運動エネルギーを利用して電気エネルギーを得るブレーキ。電車や電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)は、モーターで走行する。通常時はモーターに電力を供給することで、モーターが回転し、車輪を回して車両を走行させる。

 一般にモーターは、電力を供給すると回転エネルギーを発生させ、外部から力を加えてモーターを回転させると電力を得られる。つまりモーターは発電機として利用できる。回生ブレーキはモーターを発電機として利用して電力を得る。

 電車や自動車を停止させるためにブレーキをかけると、車両は完全に停止するまでの間、慣性で前進し続ける。つまり、車輪は回り続ける。回生ブレーキは、回り続ける車輪の運動エネルギーでモーターを回転させて、電力を得る。同時に、モーターを回転させたときに内部の磁石と電磁石が発生させる抵抗によって、車両を減速させることができる。

 回生ブレーキの効率を上げる方法として、車両が停止する寸前まで回生ブレーキで減速させるようにする方法がある。かつては早いタイミングで機械式のブレーキを使用して車両を停車させていたが、最近は停車直前まで回生ブレーキで減速させる、つまり停車直前まで発電させることができるようになってきている。

 電車の場合、回生ブレーキで得た電力は架線に流し、ほかの電車が利用することが一般的になっている。EVやHVの場合、回生ブレーキで得た電力は、電源として搭載している蓄電池に充電する。EVの場合、こうすることで蓄電池の蓄電容量以上の電力を利用でき、より長い距離を走れるようになる。

 回生ブレーキを利用している機器としてはほかにエレベーターが挙げられる。例えば、大量の人員を載せて下降する場合、重力に任せて下降させてしまうと下降速度が上がりすぎてしまう。このようなときはエレベーターのかごを上げ下げするモーターが抵抗を発生させ、下降速度を落とすと同時に、かごが下降するエネルギーでモーターを回転させて電力を得る。

 かつては、このようなときに得た電力は捨てていたが、最近は各社が蓄電池に充電し、停電時に運転を続けるための電力とする製品を発売している。

関連記事:これを読めば「回生ブレーキ」がさらによく分かる!

走行用電力をおよそ45%削減、京王電鉄が全車両に新制御方式を導入

特に都市部においては、鉄道は人間の生活に欠かせないものになっている。しかし、鉄道には大きな電力を消費するという側面もある。日本の大手私鉄で初めて、京王電鉄が全車両にVVVFインバータ制御方式を導入する。すでに導入を済ませている回生ブレーキとの相乗効果で、電車走行時の電力を約45%削減できるという。


走行距離は225km、「フィットEV」日本仕様が最高の電費性能を記録

三菱自動車工業の「i-MiEV」、日産自動車の「リーフ」に続いて、本田技研工業から日本車として3台目の電気自動車(EV)「フィットEV」が8月末に登場する。このフィットEVが日本最高の電費性能を記録したことがわかった。


ホンダの電気自動車「フィットEV」の燃費は?

三菱自動車の「i-MiEV」、日産自動車の「リーフ」に続いて、ホンダが電気自動車の「フィットEV」を8月下旬からリースで販売開始する。i-MiEVやリーフよりも燃費が良いことを米国と日本の当局によって認められた。その燃費はガソリン車に換算すると、どのくらいになるか。


ホンダの電気自動車「フィットEV」、電力消費で「リーフ」や「i-MiEV」よりも高評価

夏を前に電気自動車をめぐる動きが激しくなってきた。ホンダが今夏から日本と米国で販売を開始する「フィットEV」の性能が米国環境保護庁(EPA)から発表され、先行する日産自動車の「リーフ」や三菱自動車の「i-MiEV」よりも電力消費の効率で高い評価を得た。


キーワード解説「電費」

自動車の性能を示す重要な指標の1つに「燃費」がある。燃料であるガソリンをどれくらい効率良く利用して走行するかを示す指標だ。では、電気自動車の「燃費」はどのように示すのだろうか。電気自動車の効率の良さを示す指標が「電費」だ。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.