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» 2012年09月10日 09時15分 UPDATE

連載/データセンターの電力効率、コスト効率を上げるには(4):日本はアジア各国と世界を結ぶハブを目指すべきだ (1/2)

第3回では、日本のデータセンターを相互に接続している基幹ネットワークをゼロから設計し直すべきであると説明した。基幹ネットワークが首都圏を中心にしたスター型になっている限り、データセンターを日本全国に再配置しても大きな効果を期待できないからだ。今回は、世界との関係について考えてみる。

[中村彰二朗/アクセンチュア,スマートジャパン]

連載第1回:自社サーバを環境性能の高いデータセンターに移設しよう

連載第2回:新しいかたちのデータセンターを日本中に分散配置しよう

連載第3回:データセンター同士を接続する基幹ネットワークをゼロから再設計しよう

 連載第3回では、首都圏に集中しているデータセンターとIX(Internet Exchange point)を地方に分散させ、基幹ネットワークを網の目のように(グリッド状)に張り巡らせることで、東京を経由することなく地方都市間で通信が可能になるということやデータセンター事業者同士で設備を共用して運用することでコストをさらに下げる事業モデルについて述べた(図1)。

NGDC_4_1.jpg 図1 左側は、現在の日本のデータセンター配置状況と基幹ネットワークの敷設状況。これからは右側のようにデータセンターを地方に分散させ、基幹ネットワークを網の目のように日本中に張り巡らせる必要がある(出典:オープンガバメントクラウド・コンソーシアム 2010年)

 第3回までに解説した内容を実践するだけで、ユーザーにとってデータセンターはかなり利用しやすいものになると考えられる。しかし、まだまだ考慮すべき点はある。世界中からユーザーを呼び込んで、データセンターの利用率を高め、利用コストをさらに下げるということである。そのためには、世界各国とつながる基幹ネットワークについて考えなければならないし、世界とつながる海底ケーブルついても考え直す必要がある。

海底ケーブルの引き込みポイントを増やす

 インターネットは世界中をつなぐネットワークだ。そして、世界中とつながるインターネットに参加するには、他国との間に通信ケーブルを設置する必要がある。日本は島国であるので、他国とつなぐ通信ケーブルは海底ケーブルとなる。

 実は、日本と世界をつなぐ海底ケーブルの整備は、インターネットが誰でも使える便利な通信網となる前から進んでいた。目的は国際電話だ。しかし、国際電話のために引き込んだ海底ケーブルの通信速度はそれほど速くはない。あまり利用頻度が高いと言えない国際電話に使うこと、そして音声だけを伝送すればよいということを前提としていたため、極端に高速な通信ケーブルを引く必要はなかった。当時の通信技術では、高速な通信が実現できないという事情もあっただろう。

 しかし今や、インターネットは個人が手軽に利用できる通信手段となり、日本で発信した情報が文字通りあっという間に世界中を駆け巡るようになった。インターネットの利用者はどんどん増え、今では家庭にインターネット接続のための光回線を引いている世帯も珍しくないし、無線でインターネットに接続することも当たり前になっている。

 さらに、スマートフォンの普及により、インターネット利用者人口は大きく増加した。利用者数は、国際電話利用者とは比べ物にならないくらい増加し、それぞれの利用者は頻繁にインターネットを利用して海外と通信するようになった。

 現在日本が他国との間に設置している海底ケーブルの中でも、特に進んだ技術を盛り込んでいるものは、千葉県南房総市千倉町と、Los Angeles(カリフォルニア州)をつなぐ「Unity」だ。その通信速度は最大で4.8Tbpsにもなる(図1)。

NGDC_4_2.jpg 図1 千倉とLos Angelesを結ぶ海底ケーブル「Unity」。この図はKDDIの資料をもとにアクセンチュアが加筆したもの。日本は米国とアジア各国を結ぶ最短ルート上に位置している

ほかにも、太平洋間をつなぐ海底ケーブルとしては、阿字ヶ浦(茨城県ひたちなか市)とHarbour Pointe(ワシントン州)をつなぐものと、伊勢志摩とGrover Beach(カリフォルニア州)を接続するものが有名だ。通信速度はそれぞれ1.8Tbps。

 海底ケーブルを引き込むポイントとしてはほかに、新潟、宮崎、沖縄といった場所が挙げられる。

 先端技術を駆使した高速な海底ケーブルを設置していることはたしかに素晴らしいが、筆者は日本側で海底ケーブルを引き込むポイントをもっと増やすべきだと考える。データセンターの分散配置と同様、危機管理を考えると海底ケーブルの引きこみポイントは関東エリアに一極集中させるのではなく、日本列島を囲むように整備し、地上の基幹ネットワークとグリッドネットワークとしてつながり、日本全国に分散配置し、完全なグリッド化を実現すべきである。

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