中堅・中小企業の節電対策を支援するためのBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)の補助金制度が失速し始めた。直近の1か月で申請件数が200件にも満たない状況だ。このままでは2年間で1万件の目標の達成は難しく、抜本的な改善策を必要とする可能性が高まってきた。
国を挙げて本格的な節電対策に取り組む必要があるにもかかわらず、政府が5月から開始したBEMS(ビル向けエネルギ管理システム)の補助金制度が想定通りに活用されていない。中堅・中小企業を中心にBEMSの導入を支援するための制度だが、ここ1か月で申請件数が200件に満たない状況だ(図1)。
この制度は2年間で1万件の導入を目標に進められているもので、1か月あたり400件以上の申請が想定されている。8月10日までの約3カ月間は400件/月を上回るペースで申請件数が伸びていたが、9月7日に公表された最新の数値では、8月11日〜9月7日でわずか187件の申請しかなかった。夏休みの期間が含まれているとはいえ、ペースダウンは著しい。
相変わらずアグリゲータによる申請件数の差が大きく、この1か月間で申請件数を増やせていないアグリゲータも少なくない。申請件数を10件以上増やしたアグリゲータは、エナリス、日立製作所、パナソニックESエンジニアリング、イーエムシー、大崎電気工業の5社だけである。
アグリゲータの間からは「申請内容に対する運営側の審査に手間がかかりすぎる」との声が出ている一方で、BEMSを使わずに既存のビル管理システムで電力使用量の見える化を低コストに提供するアグリゲータもあり、補助金の運営体制を根本的に見直す必要性が問われる状況になっている。
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