夏の節電率トップは東京電力、最大需要が15%下がるエネルギー管理

全国各地で実施された7月〜9月の節電期間が終了した。では実際にどのくらいの効果があったのか。震災前の2010年夏の最大需要電力と比較すると、削減率が最も大きかったのは東京電力の管内で15.4%、次いで関西電力の13.4%、九州電力の13.1%の順になった。

» 2012年10月02日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 2年前の2010年の夏は猛暑と言われているが、今年も地域によっては同じように暑い夏だった。相対的には東日本の気温が例年よりもやや高め、西日本がやや低めに推移した。そうした地域による気候の違いを考慮しないで、単純に最大需要電力(ピーク電力)の実績値をもとに、各地域の節電率を算出してみた(図1)。

 ただし北海道は年間の最大需要が夏ではなくて冬に発生するため、あくまで参考値として記載した。東北と東京は震災の影響で2011年は冬に最大需要を記録している。全国的にも2011年はさほど暑い夏ではなかったこともあり、2010年の実績と比較するのが妥当と考えられる。

図1 過去3年間の地域別の最大需要電力

 2010年からの削減率では東京電力が最も大きく、5999kWから5078kWへ大幅に低減した。日本の電力の約3分の1を消費する東京電力の管内における節電効果は、絶対量の点でも大きなものがある。万一の場合に周辺地域に電力を融通できる余地が大きくなるからだ。

 このほか今夏に政府から節電要請が出された関西・四国・九州の3地域でも、最大需要電力の削減幅は大きかった。3つの地域を合計すると、2010年の5442kWから4728kWへ、東京電力に匹敵する規模の電力を削減できた。

 では来年の夏はどうか。企業や家庭にBEMS/HEMS(ビル/家庭向けエネルギー管理システム)が広がり始めており、今夏以上に最大需要を抑制できる可能性が大きい。太陽光などによるピーク時の自家発電や、蓄電池を活用した昼から夜へのピークシフトも進んでいく。気候が同様だとすれば、今年の最大需要から5%以上の削減を期待できるのではないだろうか。

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