グリーン・エネルギーに411億円、コージェネなどへ緊急予算法制度・規制

政府は今年度予算の予備費を使った緊急経済対策の第1弾を発表した。東日本大震災からの復興支援に加えて、グリーン・エネルギーの早期拡大に向けた対策に411億円を割り当てる。家庭向けコージェネレーションや産業分野の廃熱などを再利用するシステムが緊急対策の対象になる。

» 2012年10月30日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 今回の緊急予算は野田首相が11月中をめどに決定することを表明していた経済対策の第1弾で、遅くとも年内には実施が始まる見通しだ。特に緊急性が高い対策として東日本大震災の復興支援とともに、7月に発表した「日本再生戦略」の重点3分野の施策を前倒しする。

 3分野のひとつが「世界を主導するグリーン・エネルギー社会の創造」で、緊急支援策として合計で411億円を配分することが決まった。家庭用のガスコージェネレーションシステム「エネファーム」の設置に251億円、工場の廃熱などを再利用する高効率熱利用設備の導入に155億円、さらに地域主導による再生可能エネルギーの導入支援に5億円を割り当てる。

 政府は9月に発表した「革新的エネルギー戦略」の中で、節電・省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの拡大に加えて、コージェネレーションを含む火力発電の拡充を掲げていた。コージェネレーションの拡大目標として2020年の発電電力量を2010年の2倍に、さらに2030年には同5倍を設定した(図1)。

 そのために家庭用の「エネファーム」の設置台数を2030年までに全世帯の1割に相当する530万台に拡大する方針を打ち出している。北海道をはじめ今年の冬の節電対策も兼ねて、緊急予算でエネファームの導入を加速させる。すでに今年度予算で90億円がエネファームの補助金に割り当てられているが、一気に2倍以上の規模に増やす。

図1 コージェネレーションの拡大イメージ。出典:国家戦略室

 さらに産業分野のグリーン・エネルギー支援策として、工場で発生する排熱などを給湯や暖房に利用する「高効率熱利用設備」の導入を促進する。経済産業省が来年度予算の概算要求で105億円を見込んでいたが、金額を大幅に増やしたうえで今年度中に実施することになった。

 政府は今年度の「経済危機対応・地域活性化予備費」として9100億円を確保しており、今回の発表内容よりも予算規模の大きな対策を11月末までにとりまとめる予定だ。引き続きグリーン・エネルギーを含む日本再生戦略の重点3分野が対象になる。来年度の予算編成で継続して重点配分する方針も表明している。

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