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» 2012年12月25日 15時00分 UPDATE

2012電力トレンドまとめ読み(2):電力自由化:「新電力」を軸に市場開放の動きが広がる

我が国のエネルギー供給体制を変革する動きは、閉鎖的な電力市場の開放にも向かっている。地域ごとに独占状態にある電力会社を機能別に分割する「発送電分離」を求める声が高まる一方、電気料金を引き下げるために電力会社から「新電力」へ契約を切り替える例が増えてきた。

[スマートジャパン]

 政策の実行力で批判を浴びた民主党政権だが、こと電力の自由化に関しては2012年度に入って着実な進展が見られた。電力会社の送配電ネットワークを新規参入の「新電力」が利用しやすくするための施策を打つなど、電力市場の開放に向けた環境整備は進みつつある。2013年度には自由化を促進するための法改正も予定されている。

 今のところ新電力のシェアは3%程度に過ぎないが、この1年で地方自治体を中心に、電力会社から新電力へ契約を切り替えて電気料金を引き下げる取り組みが広がってきた。新電力の弱点である供給能力を改善する動きも活発になっている。

2012年の「電力自由化」:スマートジャパン関連記事

電力会社に依存しすぎない日本へ、電気事業の参入企業が増える(5月22日掲載)

これまで地域別の電力会社に大きく依存してきた日本の電力事情が変わり始めた。企業向けに電力を供給できる「特定規模電気事業者」が2012年に入ってから13社も増えて、合計で58社になり、さらに増加する勢いだ。電気料金の低下や新サービスの登場も期待できる。


電力を自由に売買できる新市場、6月18日から取引を開始(6月5日掲載)

企業が自家発電設備などで作り出した電力を売り買いできる市場の開設が決まった。国内で電力の卸売市場を運営する一般社団法人「日本卸電力取引所」の中で新たに「分散型・グリーン売買市場」が6月18日からスタートする。


日本初の電力需給に連動した料金プラン、最大手のエネットが7月1日から開始(6月6日掲載)

企業向けに電力を販売できる「特定規模電気事業者」の中で最大手のエネットが、電力の需給状態に応じて変動する新しい料金プランを7月1日から開始する。同社から電力供給サービスを受けている大手企業が対象で、開始当初から10社以上が利用する予定だ。


東京電力を使わないで2400万円を削減、学校用の電力をエネットから購入(6月8日掲載)

企業だけではなく地方自治体でも、電力コストを抜本的に減らす対策が始まった。神奈川県の横須賀市は市内72か所の学校で使う電力の供給元を、東京電力からエネットに切り替える。2013年8月までの14カ月間の契約で、約2400万円のコストを削減できる。


電力の自由化が一歩前進、送電網の利用条件が緩和される(6月21日掲載)

7月1日から再生可能エネルギーの固定価格買取制度が始まることを受けて、電力会社の送電網が少しずつオープンになってきた。新電力などの電気事業者が既存の送電網を利用する場合の料金が一部値下げされるほか、家庭で発電した電力でも送電網経由で集めることが可能になる。


電力改革のグランドデザインが固まる、小売・供給・送配電を開放へ(7月18日掲載)

日本の電力システムを抜本的に改革するための検討会議「電力システム改革専門委員会」による素案が7月13日に発表された。小売、供給、送配電の3つに関して基本方針をまとめたもので、電力会社に依存した閉鎖的な体制から脱却する道筋を示している。


送電網の接続料金が1割安く、不足料金は2割以上もアップ(7月27日掲載)

新電力などの電気事業者が既存の電力会社の送電網を利用する際の接続料金が安くなる。東京電力は9月から企業向けと家庭向けの電気料金を変更するのに合わせて、電気事業者向けの接続料金を約1割下げる。ただし電力の供給量が不足した時の料金を2割以上も引き上げる。


天然ガス発電所で110MW、新電力の日本テクノが千葉で運転開始(8月17日掲載)

発電能力がMW(メガワット)級の太陽光発電所の建設が相次いでいるが、それを大幅に上回る規模の天然ガス発電所が千葉県で運転を開始した。新電力の日本テクノが建設したもので、14基のガスエンジンを使って110MWの電力を生み出すことができる。


東京都、保有発電所の電力売却先を一般入札で決定へ(9月14日掲載)

東京都は多摩川流域の西多摩郡と青梅市に水力発電所を3つ保有している。現在は発電した電力の全量を、随意契約で東京電力に売電しているが、売電先を一般入札で決められるようにするために条例を改正する。決定すれば、新電力も入札に参加できるようになる。


電力市場の改革に公取委が動く、発送電分離など7項目を提言(9月24日掲載)

電力会社による閉鎖的な市場に競争原理を導入するため、「電力市場における競争の在り方について」と題する報告書を公正取引委員会が発表した。電力会社の発電・送配電・小売部門の分離を含む7つの競争政策を提言し、独占禁止法の運用も明確化することを宣言した。


電力供給元を東電から新電力に切り替え、年間で1000万円以上コストを削減(9月26日掲載)

東京電力が電気料金を値上げしてから、節電などさまざまな手段で電力コスト削減に取り組む企業が増えた。西東京市は市内の公立小・中学校で使用する電力の供給元を東京電力から新電力に切り替えた。


新電力向けの発電所を拡張、発電能力は1221MWに(10月10日掲載)

東京ガスと昭和シェル石油は、共同で運営している天然ガス発電所に発電機を追加で建設すると発表した。すでに2機の発電機が稼働しており、3機目の稼働が始まると合計発電能力は1221MW(122万100kW)に達する見込み。


電力市場を開放へ、新電力による「部分供給」を導入(11月9日掲載)

10社の電力会社による寡占状態が続く日本の電力市場だが、現在の閉鎖的な体制を抜本的に改革するための具体策が徐々に明確になってきた。2013年から「部分供給」と呼ぶ新しい仕組みが導入される見通しで、新電力の供給量が不足する場合に電力会社などが補完する制度を設ける。


電力市場の全面自由化に向けて、新制度の設計が進む(12月10日掲載)

家庭を含めた電力市場の全面自由化に向けて、小売・供給・送配電の3分野を対象に新しい電力システムの制度設計が進んできた。自由な市場でも利用者が安定した電力供給を受けられるように、「最終保障サービス」と「ユニバーサルサービス」を実現する制度の骨格が国から提案された。


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