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» 2012年12月26日 13時00分 UPDATE

ウインターセミナー/電気の法律(2):電力を買い取る環境を整備した「再エネ特措法」

日本のエネルギー事情を大きく変えたのが2012年7月1日に施行された「再生可能エネルギー特措法」である。太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスによって発電した電力を電気事業者が一定の価格で買い取ることが義務付けられた。いわゆる「固定価格買取制度」の始まりだ。

[石田雅也,スマートジャパン]

 正式な名称は非常に長くて、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」と付けられている。略称は「再エネ特措法」が一般的だ。

 この法律が施行される以前にも、再生可能エネルギーによる電力を買い取る制度は存在していた。2002年に施行された「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」で、通称「RPS(Renewables Portfolio Standard)法」と呼ばれている。

 RPS法も再エネ特措法も目的は同じだ。火力と原子力に依存している我が国のエネルギー供給体制を、環境負荷の低い新しいエネルギーによって多様化することにある。対象とする再生可能エネルギーも共通で、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスの5種類である。

 ただし2つの法律で大きく違う点がある。RPS法では電気事業者が電力を買い取る条件を任意に決められた。これに対して再エネ特措法では、買取価格や期間を国が決めて、その条件で買い取ることが電気事業者に義務付けられている。「固定価格買取制度」と呼ばれる理由がここにある。この違いによって、企業や家庭の再生可能エネルギーに対する取り組みが大きく変化した。

太陽光から始まった固定価格買取制度

 もともとRPS法は企業を対象にしており、風力とバイオマスを中心に導入が進んできた(図1)。太陽光は発電量が不安定になるために、電力の安定供給を担う電気事業者にとっては受け入れにくい。そのような状況で太陽光発電を普及させるために、RPS法とは別に2009年11月から「太陽光発電の余剰電力買取制度」がスタートした。これを機に太陽光発電の設備が企業と家庭の双方で広がり始める。

saiene1.jpg 図1 再生可能エネルギーによる電力供給量。出典:資源エネルギー庁

 余剰電力買取制度では買取価格と期間を国が決める形になっており、現在の再エネ特措法の体系の原型と言える。電気事業者が買い取った分の費用は「太陽光発電促進付加金」として電気料金に上乗せする方法も盛り込まれた。こうした新しい仕組みを太陽光以外の再生可能エネルギーを含めて拡大したものが再エネ特措法である(図2)。

saiene2.jpg 図2 固定価格買取制度の仕組み。出典:資源エネルギー庁

 とはいえ、1点だけ大きな違いがある。余剰電力買取制度は名称が示すように、企業や家庭が自家用の電力として使った後の「余剰分」を買い取るものである。自家用ではない発電事業を目的にした場合には適用されない。これに対して再エネ特措法や従来のRPS法では、発電事業のための再生可能エネルギーも買取対象になる。

年度ごとに改定する買取価格の決め方

 このようにRPS法と余剰電力買取制度を統合した形で再エネ特措法が作られた。最大の特徴は5種類の再生可能エネルギーごとに買取価格と買取期間をきめ細かく決めている点にある。しかも価格と期間は年度ごとに国が改定することになっている。

 買取価格の算定方法は発電設備の建設費と運転維持費をもとに、1kWhの電力を作るためにかかるコストが基本になる。通常は年を追うごとに発電設備が安くなって建設費が下がり、買取価格も低くなっていく。ただし、いったん確定した買取価格は、あらかじめ決められた買取期間を通して適用される。

 例えば太陽光で発電規模が10kW以上の場合には、2012年度の買取価格は1kWhあたり42円で、買取期間は20年と決められている(図3)。従って2012年度中に設置した太陽光発電設備による電力は、20年後の2031年度まで42円の単価を適用できる。実際に買取がスタートするのは発電が始まってからだが、価格が決まるのはそれよりも前になるところが注意点だ。

kaitori.jpg 図3 2012年度の買取(調達)価格と期間。出典:資源エネルギー庁

発電事業者の義務と権利も規定

 再エネ特措法で買取の対象と認められるまでには、まず発電設備を国に申請して認定を受ける必要がある。その後に電気事業者との間で2種類の契約を締結する。発電した電力を供給するための「特定契約」と、発電設備から送配電ネットワークに電力を送るための「接続契約」である(図4)。

saiene3.jpg 図4 発電事業者と電力会社の間の契約。出典:資源エネルギー庁

 このうち接続契約の申込書を電気事業者が受け取った時期か、発電設備が国から認定された時期のうち、どちらか遅い方のタイミングで買取価格が決まる。買取価格と期間を確定させるためには、年度が変わる前に接続契約の申し込みと発電設備の認可の両方を済ませなければならない。

 ただし電気事業者は正当な理由がない限り、発電事業者との契約を拒否することはできない。この点は再エネ特措法の中に明確な規定がある。拒否できる正当な理由がどのような場合かについても、条文で具体的に示されている。この法律の目的である再生可能エネルギーを拡大するという趣旨が貫かれている。

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