予想どおり厳しい九州の電力事情、まだ余裕のある北海道電力供給サービス

12月の全国各地の電力需給状況を見ると、需要に関しては各地とも当初の予測にかなり近い結果になった。予測を上回ったのは九州と北陸で、中でも九州は供給力を増強したものの需給率が96%を超える日が2日間続いた。心配された北海道は余裕があるが、1月以降は予断を許さない。

» 2013年01月07日 13時20分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 この冬の全国各地の電力需給の見通しは10月30日に政府の需給検証委員会がとりまとめ、それをもとに北海道だけ7%の節電目標を設定した。しかし需給状況が最も厳しいと予測されていたのは九州で、12月〜2月の3か月間は需給率が97%に近づき、停電の危険性が高まる予備率3%台になることが見込まれていた(図1)。そして実際に12月10日(月)、11日(火)の2日連続で需給率が96%を突破する事態が発生した。

図1 今冬の電力需給見通し。出典:需給検証委員会

 九州で最大需要を記録したのは12月11日の18時台で、1396万kWと政府の予測値から7万kWを超えただけである。供給力は21万kW増やしており、需要の増加に合わせて供給量を上積みした状況が見てとれる(図2)。その後は西日本の気温が高めに推移したこともあって、需要は低下している。ただし1月と2月は12月を上回る電力需要が予測されており、天候によっては12月よりも厳しい需給状況になる可能性がある。

図2 全国各地の12月の電力需給状況

 一方、北海道は節電目標が効果を発揮したとみられ、12月は予測を下回る需要で収まり、需給率は90%以下に落ち着いている。もともと需給率は最高の2月でも94%程度と予測されている。さらに緊急で火力発電設備を増強して供給力を高めており、今のところ電力不足の心配はない。とはいえ発電所のトラブルなどによって供給力が大幅に低下するリスクは残っているため、可能な限りの節電対策は今後も欠かせない。

 このほかの地域では中部が12月10日の17時台に需給率96.9%を記録して一時的に危険な状態に陥った。政府の予測でも九州の次に厳しい需給状況が見込まれていて、1月も注意が必要だ。関西も中部に近い安心できない状況にある。

 東京は12月の需給率を見ると最高で93%程度にとどまっている。まだ供給力に余裕があり、1月以降も電力需給が厳しくなる可能性は低い。ただし東京電力が需要を見ながら供給力を低めに抑えているため、複数の発電所で同時にトラブルが発生したりすると、11月下旬に一時的に需給率が97%を超えたような事態が再び起こる可能性はある。

 今のところ電力の供給に余裕がある地域でも、北海道を含めて引き続き、朝の9時台と夕方の17時台・18時台の電力の使い過ぎに注意したい。

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