1月の電力需要は政府の予測以下、九州も北海道も安定状態が続いた電力供給サービス

電力需要の増加が予想された1月だが、各地ともに12月と同程度の水準で、需給状況は安定していた。例年のように発電所のトラブルは発生したものの、供給力には十分な余裕があった。政府の需要予測が過大だったことに加えて、企業と家庭の節電対策が着実に効果を上げている。

» 2013年02月04日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 九州3.4%、中部4.8%、関西5.2%...。政府の需給検証委員会が昨年10月30日にまとめた電力会社ごとの1月の「予備率」である。電力不足の危険が高まる予備率3%に近づく地域が出てくることを予測していた。この冬は寒さが厳しくなる想定で、現実に東日本を中心に1月の気温は例年よりも低くなり、多くの地域で雪が降った。

 しかし終わってみると1月の電力需要は政府の予測を大きく下回って、各地で安定した需給状態が続いた(図1)。供給力を大幅に引き下げた東京や中部でさえ、予備率は7%以上を確保できている。心配された九州や関西は予備率が常に10%を超え、北海道でも10%を下回る日はわずかしかなかった。

 北海道を除いて節電目標は設定しておらず、いわゆる“定着した節電”によって需要が抑えられた効果とみるべきだろう。今後も需要が増える要因は見あたらない。

図1 全国各地の1月の電力需給状況

 これからの2月は東京や中部で1月よりも需要が増える想定になっているが、実際には1月と同様に予測を下回る可能性が大きい。同じ地域内で複数の発電所のトラブルが同時に起こらない限り、定着した節電だけで問題なく乗り切れそうだ。

 最近は大半の電力会社が毎日の需要に合わせて供給力を調整して、発電コストの削減を図っている。供給力を大幅に増やしたのは原子力発電所を稼働させている関西電力だけである。それでも電気料金を値上げする動きが相次いでいるため、利用者は節電対策を徹底して使用量をさらに抑制し、値上げ分を吸収する必要がある。2月以降も節電は欠かせない。

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