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» 2013年02月21日 11時00分 UPDATE

電力供給サービス:参加はわずか2社、松山市教委の電力入札が不調に終わる

愛媛県松山市の教育委員会は、市立中学校に電力を供給する事業者を決める入札を実施したが、落札者はなく不調に終わった。今後は四国電力の値上げ幅をよく検討し、必要があると判断したら値上げ前に入札を再び実施することも考えているという。

[笹田仁,スマートジャパン]

 入札は、松山市立のすべての中学校29校に供給する電力業者を決める目的で実施した。29校の契約電力の合計値は2087kW、合計年間供給量はおよそ377万3600kWhにもなる。四国電力が7月から電気料金値上げを予定していることから、より安く電力を確保することが狙いだった。

Matsuyama_City_PPS_Bidding_Failed.jpg 図1 松山市立の中学校全29校の契約電力、年間に消費する予定の電力量の内訳

 しかし入札を実施してみた結果、応札したのはエネットと四国電力の2社のみ。入札額はエネットが7664万3250円、四国電力が7910万4600円だ。松山市教育委員会はこれらの入札価格では満足しなかったということだ。この価格は果たして高いのだろうか?

 四国電力の業務用電力の料金体系(月々の基本料金は契約電力1kWごとに1476円。電力単価は夏季が1kWh当たり12.61円。そのほかの季節は1kWh当たり11.47円)を当てはめて値上げ前の四国電力の料金と比較してみよう。

 契約電力が2087kWで、消費電力が377万3600kWh(うち夏季は98万9200kWh、ほかの季節は278万4400kWh)となるので、値上げ前の年間電気料金は大体8137万5824円と分かる。ちなみに値上げ後は夏季の電力単価が1kWh当たり15.03円。そのほかの季節は1kWh当たり13.89円となる。この条件で計算すると、値上げ後の年間電気料金は9050万7936円と見積もれる。

 エネットの入札価格である7664万3250円と四国電力の値上げ前後の価格を比較すると、エネットの入札価格は四国電力の値上げ前料金と比べて約5.8%引き、値上げ後の価格と比較すると約15.3%引きだ。四国電力の入札価格を業務用電力の料金体系で計算した料金と比較すると、値上げ前の料金と比べて入札価格は約3.2%引き、値上げ後と比較すると約12.6%引きとなる。

 足利市や神奈川県などの自治体が、施設で使用する電力供給元を入札で決めている。入札を実施して削減できる電気料金はどちらも6%程度という結果になっている。そう考えると、エネットが提示した値上げ前と比べて約5.8%引き、値上げ後と比べて約15.3%引きという条件は決して悪くない。

 松山市教育委員会は落札者なしとした理由を、両社の入札価格が教育委員会が事前に設定していた予定価格よりも高かったからだとしている。教育委員会は予定価格を入札の告知があった時点から現在まで公開していない。今後も公開する予定はないとしている。

 入札者が2社で終わってしまったことも、今回の入札を不調に終わらせた原因と考えられる。これは、四国で大規模な電力を調達できる業者はごく少ないということを示しているのではないだろうか。新電力各社としては、入札に参加したくても四国で電力を調達するあてがなかったというのが実情だろう。

 今後入札で電力供給元を決めるという動きは、全国の自治体に広がっていくだろう。しかし、新電力各社の電力供給能力と供給可能地域には限りがある。入札で成果を確実に挙げられるようにするには、新電力各社が日本全国で自由に活動できる環境が必要だ。

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