小さい土地で出力を狙うか、農業と組み合わせるか

Looopの「MY発電所キット」は太陽光発電システムに必要な全ての部材を含んだ自作キットといえる。個人で発電所を作り上げることができ、農業と組み合わせることも可能だ。メガソーラーを狙うキットもある。

» 2013年05月27日 10時00分 公開
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 前回は小規模太陽光発電に特有の状況の他、Looop製品の狙いや実績を解説した。今回は、製品自体と製品に付属するサービスの内容を紹介する。

 Looopの太陽光発電関連の製品は大きく3種類に分かれる。発電所に必要な全ての部材を含む「キット」、土地に固定するための架台を含まない非常用の「セット」、太陽電池モジュール(ソーラーパネル)やコントローラーなどの個別の部品だ。今回はキットについて触れる。

120平方mで12kW出力可能な地上型

 前回紹介したようにLooopのキットはコンクリート基礎が不要だ。鉄パイプ(単管)を地面に打ち込み、その上に架台を載せ、太陽電池モジュールを取り付ける。「MY発電所キット 地上型」「MY発電所キット 空中型」、2013年5月に発売した「みんなで作ろう! メガソーラーキット」は、全てこの考え方に沿っている。

図1 MY発電所キット 地上型の外観

 以下ではMY発電所キット 地上型について説明する(図1)。MY発電所キット 地上型は48枚の太陽電池モジュールと専用架台に、パワーコンディショナーと発電盤(配電盤)を組み合わせた製品だ。太陽電池モジュールのみの違いにより5種類に分かれる(図2)。

図2 「MY発電所キット 地上型」の5製品

 太陽電池モジュールの違いはまず1枚当たりの出力だ。250Wと270W、300Wがある。発電所としての出力はそれぞれ12kW、12.96kW、14.4kWだ。太陽電池モジュールの材料は2種類ある。多結晶シリコンまたは、単結晶シリコンだ*1)。出力が同じものを比較すると、多結晶シリコンを用いたキットの方が、10%以上安価だ。「住宅の屋根のように設置面積が限られている場合は、一般に変換効率が高い単結晶シリコン製品を選ぶことで出力を大きくできます。当社のキットの場合は出力を決めて販売しているため、安価な多結晶シリコンの方がユーザーメリットは大きいと考えます」(Looop)。なお、設置に必要な土地面積は5製品とも約120m2である。

*1) 250W出力の多結晶シリコンを用いたキットのうち1種類はドイツSolarWorldの太陽電池を採用したことをうたっている(図2の最下段)。

農業との組み合わせに向く空中型

 MY発電所キット 空中型(空中型)は2012年12月に販売を開始した比較的新しい製品だ(図3)。製品は1種類に絞っており、出力100Wの単結晶シリコン太陽電池モジュールを120枚使用して、発電所としては12kWの出力が得られる。架台は地上型とは異なり、ほぼ水平に設置する形状だ。パワーコンディショナーと発電盤は地上型と同じである。

図3 MY発電所キット 空中型の外観

 空中型では太陽電池モジュールの間にすき間があり、一部日光が素通りする構造になっている。このため、12kWの出力を得るために120m2ではなく、150m2の土地が必要だ。一見すると、メリットが少ないように思える。

 空中型の狙いは、地面を家庭菜園などに使いながら、太陽光発電も進めたいというニーズに応えることだ。より少ない面積で発電したいのなら地上型、土地を他の用途に併用するなら空中型を選べばよい。

 「2013年4月時点でMY発電所キットの販売数を比較しますと、95%が地上型、5%が空中型です。法規制が整備されたこともあり、今後は空中型が伸びていくと考えています。実際に4月や5月の問い合わせ件数は空中型の方が多くなっています」(Looop)。

 法規制の整備とは、農林水産省が2013年4月に公開した文書「支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備等についての農地転用許可制度上の取扱いについて」を意味する。これは空中型のような太陽光発電システムを対象とした文書だ。

 本来、農地を他の用途に利用する場合は必ず農地転用手続きが必要だ。例えば農地に地上型を設置する場合である。だが、空中型では農業を継続できる構造を採っている。そこで、文書では太陽電池の支柱の基礎部分だけを農地転用すればよいという判断を示した*2)

*2) 正確には、複数の条件が付く。発電設備用の支柱が簡易な構造で容易に撤去できるものに限ることの他、繰り返し許可は可能なものの3年間の一時転用にとどめたこと、年に1回の報告を義務付けたこと、作物の収量が地域平均の2割以上減少しないことなどだ。

初期費用を抑えたメガソーラー

 MY発電所キットを使って、大出力の発電所を建設したいというニーズもあるという。このようなニーズに応える製品が2013年5月に販売を開始した「みんなで作ろう! メガソーラーキット」だ。MY発電所キット 地上型で採用したものと同じ、出力250Wの多結晶太陽電池モジュールを4500枚接続することで、1.125MWの出力が得られる(図4)。価格は1億9800万円と高額だが、kW単価では17万6000円となり、他社のメガソーラーと比較しても最も安価に建設できるソリューションだといえるだろう。

 これはコンクリートの基礎を用いず、MY発電所キット 地上型と同じコンセプトに従ったことが理由の1つだ*3)

*3) 設備が大規模であるため、コンクリート基礎や角度可変式架台などのオプションも用意している。

図4 みんなでつくろう! メガソーラーキットの内容

 日照条件が比較的良い山梨県甲府市に設置した場合、約1万5000m2の敷地が必要で、年間予想発電量は130万3939.6kWh。2013年度の買取価格37.8円(税込み)を適用した場合、年間予想売電収入は4900万円以上、20年間で累計約9億4000万円の売電収入を得られるという。

出力にも保証が付く

 キットの内容や仕様は分かった。付属するサービスには何があるのだろうか。

 キットに共通したサービスが2つある。まずはキットに含む太陽電池モジュールをLooopブランドとしたことだ。太陽光発電所は完成後、例えば20年間以上運用することが考えられる。特定の企業の太陽電池モジュールを採用した場合、モジュールメーカーが事業を中止すると、サポートが得られなくなる。そこで全てLooopブランドとした。製造元とLooopの双方からサポートが得られることで、より手厚くなるということだ。

 第2が保証だ。太陽光発電システムは設置後、出力がゆっくりと低下していく。太陽電池モジュールの内部に封入されている太陽電池セル(発電部)自体はシリコンからできており、経年劣化しないと考えてよい。しかし、太陽電池モジュールの部品である樹脂やガラスの変色が起こる*4)。透明度が下がると出力が低下する。

*4) 国内で使用する限り、太陽電池モジュール表面に積もった砂ぼこりはほとんど問題にならない。最大5%程度の出力低下が起こるものの、1mm以上の雨で回復するからだ。ただし、鳥のふんやぬれ落ち葉などは長期間放置しない方がよい。

 これらの出力低下は品質の高い太陽電池モジュールを使うことで低減できる。Looopでは購入日から25年間、本来の出力の80%以上を保証しており、修理や同等品との交換サービスが受けられる。加えて12年間は本来の出力の90%以上も保証する(図5)。

 なお、架台とパワーコンディショナー、発電盤についても購入日から1年間の保証が付く。

図5 出力保証の範囲

 3番目のサービスが補償だ。自然災害補償と売電利益補償を1年間無償で受けられる*5)。自然災害補償とは、火災や台風、物体の衝突、盗難などに対するもの。補償額の上限は、MY発電所キットの販売価格だ。ただし地震や噴火、津波に対する被害は含まない。

*5) 2年目以降は有償の契約が必要。メガソーラーキットの補償については初年度無料の対象外となり、別途オプション契約が必要だ。

 売電利益補償は、自然災害補償と組み合わさった補償だ。台風などにより機材が故障した場合、発電はできない。すると、売電利益が得られなくなる。これを喪失利益として補償金を支払うというもの。4日以上発電できなかった場合、3カ月を上限として補償を受けられる。


連載第1回:地面設置に適した小規模な太陽光発電システム、Looopの「MY発電所キット」とは


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提供:株式会社Looop
アイティメディア営業企画/制作:スマートジャパン 編集部/掲載内容有効期限:2013年6月26日

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