東北が健闘、住宅用太陽光は前年度比8.9%増法制度・規制

経済産業省の補助金の申し込み先である太陽光発電普及拡大センター(J-PEC)は、2013年3月までの補助金受付件数を公開した。前年度比、前年同期比とも7%以上の成長をみせた。東北地方の伸びが著しい他、固定価格買取制度の買取価格変更の影響も現れている。

» 2013年05月27日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 個人が太陽光発電システムを導入する際、条件付きながら経済産業省の補助金(住宅用太陽光発電補助金)*1)を受け取ることができる。

 太陽光発電協会(JPEA)の一部門である太陽光発電普及拡大センター(J-PEC)は、この補助金の申し込み受付件数を公開した。住宅に設置された10kW以下のシステムはほとんどがこの補助金の対象となるため、システムの実数をかなり正確に反映していると考えられる。J-PECが2013年5月に公開したのは、2013年1〜3月の四半期分と、2012年4月から2013年3月までの通期分である。

*1) 住宅に太陽光発電システムを導入しようとする個人や法人を対象としたもの。太陽電池モジュールやパワーコンディショナー、設置工事費用などの経費の額に応じて、1kW当たり、1万5000円または2万円の補助金を受けられる。J-PECは補助金事業の執行組織だ。

 2012年4月から2013年3月までの1年間を、前年度と比較すると、受付件数が全国で8.9%成長し、33万1012件となった。新築住宅向けが11万5678件(21.4%増)、既築住宅向けが21万5334件(3.2%増)である。

 新築と既築をあわせた件数の伸び率が高かった地域は、東北地方に集まっている(図1の青色)。福島県(81.9%増)を筆頭に、宮城県(38.2%増)、岩手県(32.7%増)、奈良県(31.5%増)、茨城県(30.4%増)であった。逆に減少が目立った県は西日本に集中していた。沖縄県(16.4%減)、徳島県(16.0%減)、佐賀県(8.2%減)、三重県(8.2%減)だ。

 図1では青色で前年度を100とした増減(軸は上側)、オレンジ色で実件数(軸は下側)を示している。実件数では、人口密集地が上位に集まる。愛知県(2万3376件)、埼玉県、神奈川県、東京都、福岡県の順である。下位は年間日照時間が小さい地域に目立つ。順に秋田県(1015件)、福井県、山形県、青森県、石川県である。

 実件数の増加が最も多かったのは福島県(3196件)、次いで茨城県、大阪府、宮城県、栃木県だった。減少が最大だったのは広島県(−629件)だった。

図1 受付件数の変化と実数値。出典:太陽光発電普及拡大センター(J-PEC)

四半期の成長傾向は通期と似ているが

 2013年1〜3月は前年同四半期と比較して、受付件数が全国で7.3%増加した。

 件数の伸び率が高かった都道府県は、順に秋田県(42.5%増)、福島県(30.5%増)、奈良県(26.2%増)、岩手県(26.0%増)、和歌山県(24.8%増)である。逆に減少したのは、沖縄県(32.9%減)、徳島県(31.2%減)、香川県(15.4%減)、鹿児島県(11.9%減)、高知県(10.1%減)だった。

 実件数の都道府県ごとの傾向は通期とほぼ同じだ。ただし、月ごとの実件数には変化があった。2013年の月別申し込み件数は、1月(2万7540件)、2月(2万9844件)、3月(6万1076件)である。3月の値は異常値ともいえる。固定価格買取制度(FIT)の買取価格変更を見越した駆け込み申請だと考えられる。このためか、4月の件数は2473件にまで落ち込んだ。5月の件数は5月24日時点で1万3952件まで回復している。

 なお、J-PECは組織開設後に補助金の受付を始めた2009年1月から、2013年3月までの4年3カ月分の合計値も公表している。受付件数は合計で100万件を超えており、新築が32万7093件、既築が68万件に4件だけ足りなかった。実件数が最も多かったのは愛知県(7万4896件)であり、次いで埼玉県、東京都、福岡県、神奈川県だった。少ない件は順に秋田県(3128件)、青森県、福井県、石川県、鳥取県である。

【訂正】 記事の掲載当初、注1で「1kW当たり、3万5000円または3万円の補助金」としていましたが、これは「1kW当たり、1万5000円または2万円の補助金」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。上記記事はすでに訂正済みです。

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