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» 2013年05月30日 07時00分 UPDATE

自然エネルギー:屋根を貸したい×屋根を借りたい、札幌市が太陽光の導入支援事業を開始

土地や屋根に自ら太陽電池を置くのではなく、事業者に場所を貸し出して賃料を得る。このようなビジネス形態が諸外国はもちろん、国内でも始まっている。課題は貸し手と借り手のマッチングだ。札幌市はマッチングを助ける事業を開始した。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 太陽電池モジュールを屋根や所有地に設置して売電する……。20年にわたって売電収入を得ることができ、売電収入の合計額は初期導入コストを超える。しかし、初期導入コストを最初に負担する必要がある。

 初期導入コストをゼロにしながら利益を得ることも可能なはずだ。屋根や土地を発電事業者に長期間貸し出し、賃貸料金を得るという手法だ。発電事業者は太陽光発電システム一式を設置しなければならないが、設置場所を自ら所有しなくても済み、選択肢が増えるというメリットもある。

 これは土地の所有者が自らアパートを建てるのではなく、不動産業者に土地を貸し出し、地代を得る場合と似た構図だ。

 不動産の場合は長い伝統があるため、手続きは難しくない。土地の所有者、不動産業者とも複数の相手を見付けることができる。しかし、太陽光発電はまだその段階に至っていない。固定価格買取制度(FIT)が始まったのはようやく2012年のことだからだ。

マッチング事業が開始

 このような場合、行政が双方の出会いの場を設けると、太陽光発電の土地・屋根貸しビジネスがより進み、普及拡大につながるのではないか。札幌市はこのような判断を下し、「太陽光発電推進マッチング事業」を2013年5月に開始した。

 太陽光発電推進マッチング事業の内容は3つある。図1の(1)にある土地・屋根貸し希望者の募集、(2)にある土地・屋根借り希望事業者(発電事業者)の募集、(3)にある太陽光発電セミナーの開催だ。

yh20130530Sapporo_system_550px.jpg 図1 マッチング事業の内容。出典:札幌市

 注意が必要なのは(4)である。土地や屋根を貸す側と、借りる側の協議や契約は当事者間で進めなければならず、札幌市が取り持つことはしない。推薦やあっせんもしないということだ。それでも札幌市が双方の情報を登録する際にある程度の条件を設けているため、マッチング事業には意味がある。

 札幌市が設けた貸し手側の条件は3つある*1)。第1に土地・屋根ともほぼ20年間継続して賃貸可能であることだ。事業の前提となる重要な条件だ。

 第2に土地に対する条件がある。市内の民間遊休地であることや農地法の適用を受けないことの他、更地であること、激しい起伏がないこと、日照条件が良好であること、という5つの条件を決めた。

 第3の条件は屋根に対するものだ。4点ある。市内の民間施設であることや建築基準法の新耐震基準が適用されている施設であることの他、太陽電池モジュールが設置できる1棟の屋根の面積がほぼ200m2以上であること、日照条件がよいことだ。

 屋根の面積に関するもの以外はごく当然の条件といえるだろう。札幌市以外の自治体にも同様の事業が広がっていくことが望ましい。

*1) 借り手側に対しては、目的外の利用でないことを確認し、事業を推進する財政能力があることの他、税の滞納がないこと、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に当てはまらないことを条件とした。

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