関西と九州に続いて今度は北海道で電力の需給状況が厳しくなっている。2基の火力発電所が25日(火)と26日(水)に同様のトラブルで運転を停止したため、供給力が105万kWも低下してしまった。27日(木)のピークは19時台の予想で、需給率は96%まで上昇する見込みだ。
北海道電力の「でんき予報」によると、本日6月27日(木)の最大電力は19時台に385万kWまで上昇する一方、その時点の供給力は401万kWで、予備の電力はわずか16万kWしか残らない(図1)。需給率が96%に達する事態になり、新たに発電所のトラブルが発生すると停電の心配もある。
前日26日(水)にも19時台に需給率が94%まで上昇した。391万kWの需要に対して当初の供給力は392万しかなく、緊急で東北電力から24万kWの融通を受けて対応した。27日も同様に東北電力からの緊急受電を見込んでいる。
本来であれば夏の北海道は他の地域よりも需給状況に余裕があり、今夏も7月の予備率は最低でも8.2%を確保できる見通しだ。7月の供給力は506万kWの計画で、現状から100万kWの大きな開きがある。
現在の問題は運転を停止している発電所の数が非常に多いことだ。26日の夕方時点で主要な発電所のうち10基が動いていない(図2)。原子力の泊発電所を含めて定期検査中の6基は致し方ないとしても、トラブルで停止している発電所が4基もある。
今週に入ってからは、主力の火力発電所である苫東厚真(とまとうあつま)発電所の1号機と4号機がいずれもボイラーからの蒸気漏れによって運転を停止した。先週17日(月)には2号機もトラブルを起こして出力を半減させる事態が発生している。3基とも石炭による火力発電設備で、出力を合計すると165万kWにのぼり、夏の供給力の約3割を占める。
北海道電力は今冬に向けて泊発電所を再稼働させる準備を進めているが、それよりも前に火力発電所の設備更新が緊急かつ最重要な課題と言える。
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