c.キプロス
再生可能エネルギーに関する国際ネットワークであるREN21(Renewable Energy Policy Network for the 21st Century)が、2012年6月に発行した「Renewables 2012 Global Status Report」によれば、太陽熱温水・暖房システムの容量は、2008年の130GW、2009年の153GW、2010年の182GW、2012年の232GW(いずれも熱換算)というように、2006年から2011年にかけて年平均17%で成長している。これは再生可能エネルギーとして太陽光、集光型太陽熱、風力、バイオディーゼルに次ぐ伸び率だ。REN21の分析によれば、太陽熱温水器産業は再生可能エネルギー分野ではバイオエネルギーと並んで雇用の創出と確保に役立っているという。
2010年末時点の総導入量は全世界で2億世帯を超えている。うち64.8%が中国に設置されている。2位のトルコが5.1%であるため、圧倒的であるといえる(図1の中央の列)。なお、日本は2.2%だ。これを国民1人当たりに換算すると、キプロス、イスラエル、オーストリア、バルバドス、ギリシャの順になる。オーストリアを除けば、緯度が低く、人口規模がそれほど大きくない国が上位となっている。
国民1人当たりの導入量の上位5カ国と、総容量が多い上位5カ国を地図上に示した(図2)。キプロス(南キプロス)は地中海東部に位置する面積9251km2、人口113万人の国。面積や人口は日本の山形県とほぼ同じである。キプロスは電力では99%を火力発電に頼っているものの、温水を作るために太陽熱をうまく利用していることが分かる。地中海性気候の国であり、日照に恵まれていることが大きいだろう。キプロスの1月の平均気温は10度、7月は28.3度であり、日本の数値とそれほどかけ離れてはいない。
なお、総務省統計局が調査した「平成20年住宅・統計調査」によれば「太陽熱を利用した温水機器等あり」は262万戸、住宅全体の5.3%となっていた。特に持ち家では比率が8.3%まで高まる。都道府県別では宮崎県、熊本県、高知県、佐賀県の順だ。宮崎県では26.9%の住宅が導入しているほどだ。
とはいえ、日本では同技術はあまり評価されていないようだ。なぜなら、「平成15年住宅・統計調査」と比較すると46万戸も減少しているからだ。大量導入が進む太陽光発電システムとは逆の傾向にある。
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