スマートメーターを競争入札で調達、先行する関西電力が2014年度から電力供給サービス

電力使用量の自動検針を可能にするスマートメーターの開発・導入が本格的になってきた。東京電力に続いて関西電力が競争入札による調達を決め、メーカー向けに仕様の詳細を8月に説明する予定だ。2023年度までに1300万の全顧客に設置する計画で、2014年度の上期に調達先を決定する。

» 2013年07月11日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 これまで関西電力は独自に開発したスマートメーターを約200万台も設置してきた。電力会社の中では圧倒的な台数で、さらに2013年度〜2015年度の3年間に合計450万台の導入を計画している。最終的には2023年度までに1300万のすべての顧客にスマートメーターの設置を完了する予定だ(図1)。

図1 関西電力のスマートメーター導入計画と設置率。出典:関西電力

 スマートメーターの大量導入に向けて、調達コストの削減を目的に一般競争入札でメーカーを選定することにした。8月2日に大阪市内でメーカー向けの説明会を開催して、仕様の詳細や調達スケジュールなどを明らかにする。2014年度の上期中に調達先を決めたうえで、下期から調達を開始する計画だ。1台あたりの調達価格は1万6000円程度を見込んでいる。

 スマートメーターは企業や家庭の電力使用量を30分単位で測定して、電力会社などのシステムに通信ネットワークでデータを送ることができる。関西電力は通信・計量・負荷開閉の3つのユニットで構成するスマートメーターを想定している(図2)。このうち通信ユニットだけは入札対象から外す方針だ。

図2 関西電力が導入するスマートメーターの概要。出典:関西電力

 全国で8000万台の設置が見込まれるスマートメーターの開発には、電力会社やメーカーの思惑が入り乱れ、さまざまな動きが水面下で繰り広げられている。今のところ仕様の統一も実現できていない。関西電力が調達するスマートメーターでは、計量ユニットの仕様は4社の電力会社で共通に決めたものだが、通信ユニットは独自の仕様になっている。そのために競争入札の対象から通信ユニットを除外したと考えられる。

 各電力会社がスマートメーターの通信仕様を統一できないと、相互接続とコストの両面で問題が残る。このほかにスマートメーターのデータを管理するセンター側のシステムが必要で、すでに東京電力が開発に着手している。センター側のシステムの仕様に関しても、電力会社間で統一できるか不透明な状況だ。監督官庁の経済産業省が調整すべき重要な課題と言える。

 スマートメーターを活用した新しいサービスの開発でも関西電力が先行している。けいはんな学研都市の実証プロジェクトの中で、電力の需給状況に合わせて電気料金を変動させるダイナミックプライシングの実験などを進めてきた。一般の利用者向けには、時間帯や曜日・季節によって単価が変わる契約メニューをいち早く提供している(図3)。

図3 関西電力のスマートメーター関連の取り組み。出典:関西電力

 これから小売全面自由化や発送電分離が進んでいくと、スマートメーターを活用したサービスが顧客の獲得にも大きく影響するようになる。電力市場の開放に向けて、スマートメーター関連の機器やシステムが電力会社だけに有利にならないように注意していく必要がある。

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