ガソリンの課題を解決する「燃料電池車」キーワード解説(2/2 ページ)

» 2013年07月19日 16時30分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
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現在の燃料電池車メーカーの動向

 最後に、現在の燃料電池車を巡る開発状況を紹介しよう。

 日本国内では2011年に13社が「燃料電池自動車の国内市場導入と水素供給インフラ整備に関する共同声明」を発表している。ここでは自動車メーカー3社(トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ)と石油・ガス大手のJX日鉱日石エネルギー、出光興産、岩谷産業、大阪ガス、コスモ石油、昭和シェル石油、西部ガス、大陽日酸、東京ガス、東邦ガスが参加している。

 自動車メーカーは、東京、名古屋、大阪、北九州という4大都市圏を中心とした国内市場に燃料電池車の量産車を導入し、一般ユーザーに販売する。エネルギー事業者10社は、水素供給業者として、2015年までに100カ所程度の水素供給インフラの先行整備を目指す。インフラは先ほどの4つの都市圏を結ぶ直線上に重点的に整備する。

 図2に示したように水素供給インフラ(水素ステーション)にはさまざまな形態があり得る。大きく分けて、ステーションに外部から水素を運び込むもの(図上)と、ステーション内部で原料ガスから水素を作るもの(図下)がある。ガスの運搬にもパイプラインやトレーラなど複数の選択肢があり、用途や規模、周辺施設の有無などによって形態が分かれると考えられる。

図2 さまざまな形態を取りうる水素供給インフラ。出典:水素供給・利用技術研究組合

 先ほどの自動車メーカー3社はいずれも燃料電池車を製品化しており、現在はリース販売を継続している段階だ。

 トヨタ自動車は2002年から日米で限定的に燃料電池車のリース販売を開始しており、2008年には車種を「FCHV-adv」に更新した。現在まで各地で実証運航を続けている。日産自動車は2003年に「X-TRAIL」の限定リース販売を開始している。その後は2005年にX-TRAILを更新したあと、燃料電池本体(燃料電池スタック)の小型化、高性能化を中止に開発を続けている。ホンダは2002年に「ホンダFCX」のリース販売を開始、2008年には「FCXクラリティ」のリース販売を始めている。

 燃料電池車開発について、国際的なメーカー間の競争を見ると、トヨタ自動車はBMWと、日産自動車(ルノー)はDaimler(ダイムラー)、Ford Motor(フォード)と、ホンダはGeneral Motors(GM)と協業関係、提携関係にある。このほかスズキが独自に燃料電池車の開発を続けている。企業間の競争関係の構図も固まってきたということだ。

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