太陽光発電の運営コストを低減する、防草シートと遠隔監視システムエネルギー管理

大規模なメガソーラーや風力発電所の建設プロジェクトを数多く手掛ける前田建設工業が、太陽光発電設備の運営コストを低減する技術とノウハウの開発を進めている。自社で運営するメガソーラーを使って、防草処理技術や遠隔監視システムの実用性を検証した。

» 2013年08月08日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 前田建設工業は茨城県つくば市の社有地に2MW(メガワット)の太陽光発電設備を2013年3月に稼働させた(図1)。発電事業を運営しながら、太陽光発電で課題になっている防草処理技術の実験や、遠隔監視システムを使った施設管理ノウハウの蓄積を続けている。

図1 「つくば太陽光発電施設」の全景。出典:前田建設工業

 防草処理技術では厚さの異なる2種類の防草シートを組み合わせる。日光の当たる部分には厚いシート、太陽光パネルの下で日光の当たらない部分には薄いシートを敷いた。さらにシートの敷設前後に環境負荷の少ない除草剤を散布して、土の中に残っている草の成長を抑制した。その結果、雑草の繁茂を抑えることができ、5カ月後の8月時点でもメンテナンスフリーに近い運用が可能になっている。

 施設管理の面では遠隔監視システムを使って、本店や支店からリアルタイムに発電量を確認できるようにした(図2)。天候や影の影響による発電効率の実績値を分析しながら、太陽光発電の運営ノウハウを蓄積していく。

図2 発電量リアルタイムモニタリングシステムの画面。出典:前田建設工業

 さらにウェブカメラを搭載した建物履歴管理システムを併用して、発電設備の点検や修繕の履歴を管理できるようにした(図3)。現地の確認回数を減らせるほか、計画的なメンテナンスによって発電設備を長持ちさせる効果を期待している。

図3 ウェブカメラによる遠隔監視。出典:前田建設工業

 前田建設工業は実施した対策の効果を継続的に検証する予定だ。蓄積した技術やノウハウは今後のメガソーラーの建設に生かしていく。

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