ウズベキスタンのガス火力発電所で燃料10%削減、日本のコージェネ技術を導入蓄電・発電機器

東北電力がウズベキスタン共和国のガス火力発電所で大規模な設備更新を完了した。コージェネレーション方式による最新鋭の発電設備を導入して、ガスの使用量を10%も削減できるようになった。一方で日本の発電所には効率の悪い石油火力が多く、急いでガス火力へ移行すべき状況だ。

» 2013年08月28日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 ウズベキスタンでは発電設備の多くが旧ソビエト連邦によって建設されたもので、老朽化が進んでいる。首都のタシケント市にある「タシケント熱電併給所」は75年前の1938年に運転を開始した発電所で、天然ガスを燃料に使って電力と熱の両方を供給することができる(図1)。いわゆる「ガスコージェネレーション」の設備である。

図1 タシケント熱電併給所。出典:東北電力

 老朽化したコージェネ設備を更新するプロジェクトはNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)がウズベキスタン政府と共同で実施したもので、東北電力が技術支援を請け負った。設備更新の内容は、既存のコージェネに併設する形で最新鋭のコージェネを導入して、発電能力を従来の22.5MW(メガワット)から2倍以上の49.5MWへ拡大した(図2)。

 この結果、タシケント熱電併給所で使用する天然ガスの量は15%増えたものの、発電能力が増加した分で他のガス火力発電所の燃料を大幅に減らすことができ、合計のガス使用量を10%も削減できるようになった。

図2 ガスコージェネレーション設備の導入による天然ガス使用量の削減(焚き減らし)。出典:東北電力

 設備更新の事業費は約55億円で、そのうちNEDOが約38億円を負担した。プロジェクトの実施期間は2009〜2013年度の5年間である。NEDOと東北電力は同様の事業を隣国のカザフスタン共和国でも2002〜2006年度に実施しており、今回が2例目になる(図3)。

図3 ウズベキスタン共和国の首都タシケントの位置。出典:東北電力

 現在のウズベキスタンには燃料費が高くて効率の悪い石油火力発電所は存在しない。電源構成を見ると、天然ガス火力が65%、石炭火力が21%、水力が14%になっている。今後さらにガス火力発電所を高効率の設備に更新していくことで、燃料費とCO2排出量の削減を進めることが可能だ。

 一方で日本は石油火力の比率が依然として高く、15%程度を占めている。天然ガスと比べて発電量あたりの燃料費が約1.5倍、CO2排出量は2倍近くに達する。日本でも石油から天然ガスへの切り替えを急ぐ必要がある。日本の火力発電所はウズベキスタンと比べて規模が大きいため、コージェネ方式ではなくて、ガスと蒸気で電力だけを生成するコンバインドサイクル方式が主流になる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.