発電用ダムに発電所を追加して電力を搾り取る、東北電力が新潟で自然エネルギー

発電用ダムと水力発電所が組み合わさった立地に、さらに水力発電所を増設する。このような試みを東北電力が進めている。放水のために無駄になっている水を役立てようという目的だ。

» 2013年08月29日 11時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 発電用ダムと水力発電所が組み合わさって電力を供給している、その現場にさらに水力発電所を追加する工事を東北電力が開始した。

 なぜこのような工事を始めたのか。現場は新潟県魚沼市、信濃川水系の破間川にかかる藪神ダムだ(図1)。藪神ダムは1941年に完成した堤高23m、堤頂長(幅)98mのダムで、総貯水量は185万7000m3。このダムに最大30m3/sの水を使う藪神発電所(最大出力8.8MW)が取り付いている。

図1 新設する水力発電所の位置。出典:東北電力

 藪神ダムと藪神発電所の課題は発電用の水をうまく使い切っていなかったことだ。年間300日以上もダムゲートから放水していた。なぜこうなるのか。それは上流にある電源開発の黒又川第一発電所の最大使用水量(42.4m3/s)が大きいからだ。電源開発の発電所からは使用水量と同じだけの水が破間川に放流されて藪神ダムに至る。

 藪神ダムが放水している水は本来発電に使うことができる。そこで、藪神ダムの右岸にダム式の「藪神第二発電所」(最大出力4.5MW、最大使用水量30m3/s)を増設する。有効落差17.85mで、立軸バルブ水車を利用して発電し、発電後の水はダム直下に放流する。

 藪神第二発電所は2013年7月に着工したばかりだ。2013年8月26日に本格的な工事を開始、発電所の基礎の掘削や基礎コンクリートの打設などを経て、2016年3月の営業運転開始を目指す。

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