20年間のリース料が12億円、大阪府の下水道施設でメガソーラー稼働スマートシティ

大阪湾岸にある下水道施設で2MW(メガワット)の太陽光発電設備が9月1日から運転を開始する。大阪府が発電設備をリースで賃借して売電事業に取り組むプロジェクトだ。20年間に12億円以上のリース料を支払っても十分な利益を見込める。

» 2013年08月30日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 大阪府は再生可能エネルギーを拡大する政策の一環として、泉南市で運営する「南部水みらいセンター」に2MW(メガワット)の規模の太陽光発電設備を建設した(図1)。9月1日から運転を開始して、年間に215万kWhの電力を供給する計画だ。

図1 「南部水みらいセンター」のメガソーラー。出典:大阪府都市整備部

 事業化にあたって発電設備をリースで賃借する方法を採用した(図2)。設備を建設・運営するのはNTTファイナンスと日本コムシスの2社で、大阪府は年間に6240万円をリース料として支払う。契約期間の20年間の合計で12億4800万円の負担になる。

図2 リース方式による事業スキーム。出典:大阪府都市整備部

 一方で大阪府が売電で得る収入は、2012年度の買取価格(1kWhあたり40円)で計算すると年間に8600万円を見込める。20年間で17億2000万円になり、リース料を差し引いて4億7200万円の利益を出すことができる。再生可能エネルギーの拡大に加えて、下水道施設の遊休スペースを活用した収益事業としても有効な施策になる。

 施設内の3万平方メートルの敷地に太陽光パネルを設置した。パネルの枚数は7920枚で、海に近いために耐塩害仕様の多結晶モジュールを採用した。設置角度は10度、設置方位は南東である(図3)。8台のパワーコンディショナー(1台あたりの処理能力250kW)を使って、平常時は全量を電気事業者に供給するが、災害時には下水道施設の非常用電源としても利用する方針だ。

図3 太陽光パネルの設置状況。出典:大阪府都市整備部

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