まとめ買いで電力を安く手に入れる、一括受電の秘密とは初めから分かる一括受電(1)(2/2 ページ)

» 2013年09月09日 11時00分 公開
[中央電力,スマートジャパン]
前のページへ 1|2       

一括受電のメリットを還元する方法

 マンションが消費する電力は、エレベーターや立体駐車場、エントランスの照明や空調などの「共用部」と、各世帯の住居スペースである「専有部」の2つに区分けされる。

 多くの一括受電サービス事業者は、共用部の電気代を値下げする「共用部向けプラン」と、専有部の電気代を値下げする「専有部向けプラン」を提供している(図3)。これらを合わせたミックスプランを提供するところもある。

図3 共用部と専有部との契約形態のパターン。出典:中央電力

 どのプランを選ぶかはマンションごとに事情があるようだ。

 例えば分譲マンションでは、各戸のメリットよりもマンション全体のメリットを検討することが多いため、マンション管理費の削減につながる共有部向けプランが選ばれる場合が多い。一方、賃貸マンションではオーナーが他のマンションとの差別化を図るため、各戸の電気代が安くなる専有部向けプランが選ばれるケースが多い。

 中央電力の導入データでは、分譲マンションの約8割が共用部向けプランとなっており、一括受電のメリットをマンション全体で共有するという考え方が受け入れられていることを示している。

何戸以上であれば導入可能か

 マンションの平均的な1戸(3人家族)の消費電力は1.3kWである。単純計算で40戸以上集まれば50kWを超え、一括受電として高圧契約に切り替えることが可能だ。

 図4は、中央電力が一括受電サービスを始めた2004年から現在までの物件の戸数の割合を示したものである。関東と関西で違いはあるが、40戸以上であれば上限はなく、何戸のマンションでも導入は可能であるということになる。

 なお、都市部で増えているタワーマンションの場合、高圧契約ではなく特別高圧契約に切り替えることもある。特別高圧契約の場合は専用の電気設備を付ける必要があり、設備投資がかさむため、一括受電の導入が難しいこともある。

図4 一括受電の戸数別導入件数。出典:中央電力

一括受電の導入前に必要なこと

 既存のマンションが一括受電を導入する場合、マンション管理組合の理事会で導入が了承された後、総会決議を経てマンション管理組合と一括受電サービス事業者との間で契約を締結する。さらに全戸から同意書を集めて導入工事に進む(図5)。

図5 既存マンション管理組合でのサービス導入フロー。出典:中央電力

 一括受電の採用が管理組合の決定事項であっても、マンション居住者の考えはさまざまだ。

 そのためマンション全戸へ、仕組みやメリットを十分理解してもらう説明が必要になる。また、全戸から同意を得るためには最後の1人まで粘り強く対話を行う必要があるが、一括受電はマンションの全居住者の利益のために導入するものであり、管理組合が主体となって進めていくことが本来の姿であるといえる。一括受電業者はそうしたマンション管理組合を支援する立場で、ノウハウを生かしたサポートを行っている。

 このように一括受電を既存マンションに導入するには、マンション居住者の「まとまる力」が不可欠なのである。(連載第2回へ

テーマ別記事一覧

 電力供給サービス   家庭 


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.