夏の電力販売量が最も増えたのは沖縄、微増の関西は値上げの影響か電力供給サービス

8月の電力販売量を地域別に見ると、全国の8つの地域で前年を上回った。意外にも関西は0.7%の微増にとどまり、5月から実施した電気料金の値上げの影響が早くも表れた可能性がある。前年から最も増えたのは沖縄で、次いで九州、中国の順だった。北海道でも増えている。

» 2013年10月01日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 電気事業連合会が8月の電力の販売量を地域別・用途別に集計した。例年以上の猛暑の影響で北陸と東北を除く8つの地域で前年8月よりも増加したが、個別に見ると意外な結果が出ている(図1)。

図1 2013年8月の地域別・用途別の電力販売量(単位:百万kWh)。電気事業連合会による

 まず関西の伸びが西日本各地の中で最も小さく、前年比では東京よりも低い0.7%の増加にとどまった。家庭を中心とする「電灯電力」は2.1%の増加だったが、企業向けの「特定規模」が0.2%の減少に転じた。関西電力が5月に電気料金を値上げしたことから、特に企業のあいだで電気料金を削減するための節電対策が進んだものと考えられる。

 一方で前年からの増加率が最も大きかったのは沖縄である。沖縄は全国の中で電気料金が最高水準にあるが、それでも猛暑によって家庭と企業の両方で電力の需要が増加した。同様に九州でも家庭向け・企業向けともに販売量が増えている。九州は関西と同時に5月から電気料金を値上げしたにもかかわらず、節電効果を上回って需要が伸びた。

 このほかに北海道と中国でも企業向けの販売量が前年の実績を超えたが、それ以外の6つの地域では逆に減少している。節電対策の効果に加えて、ガス冷暖房などの導入によって電力会社から購入する電力が減っていることも要因のひとつだろう。

 その点で気になるのは北海道だ。8月の気温が前年よりも高めに推移したとはいえ、東日本では北海道だけが企業向けの販売量で前年を上回った。ほかの地域よりも節電対策が遅れている可能性があり、例年よりも寒くなると予想されている今冬の電力需給に懸念が生じる。早めの準備が求められる状況と言える。

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