最新鋭のガス火力発電所を九州・大分に、2016年に48万kWで運転開始電力供給サービス

原子力を除いて九州で最大の発電能力がある「新大分発電所」で、最新鋭のガス火力発電設備の建設が始まった。現時点で最高レベルの熱効率60%を発揮するガスコンバインドサイクル方式を採用して、48万kWの電力を供給することができる。九州の夏のピーク時の電力需要の3%に相当する。

» 2013年10月07日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 新大分発電所は稼働中の13基すべてが天然ガスを使った火力発電設備で、合計すると発電能力は229.5万kWに達する(図1)。新たに建設を開始した14基目の「3号系列第4軸」を加えると277.5万kWに増えて、再稼働を申請中の玄海発電所3・4号機(236万kW、原子力)も上回り九州で最大の発電所になる。

図1 「新大分発電所」の設備。出典:九州電力

 新設備は火力発電の中では最も効率が高い「ガスコンバインドサイクル発電」を採用して、既存の13基を超える発電能力を発揮することができる。コンバインドサイクルは1度に2種類のタービン(ガスと蒸気)を回して発電する方式で、同じ量のガスから得られる電力が通常の約1.5倍になる(図2)。燃料費の削減と合わせてCO2の排出量も削減できる一石二鳥の発電方法である。

図2 ガスコンバインドサイクル発電の仕組み。出典:九州電力

 すでに国内で稼働している同様の火力発電設備では、東京電力が2013年2月に運転を開始した川崎火力発電所の「2号系列第1軸」(50万kW)や、関西電力が8月から運転を開始した姫路第二発電所の「新1号機」(48.7万kW)がある。いずれの設備も熱効率(発熱量に対して得られる電力)が60%程度に達して、通常の火力発電の約40%と比べて1.5倍の効率を発揮している。

 九州電力の新設備も熱効率は同程度の60%を見込んでいる。2016年1月から試運転を開始して、同年7月に営業運転を開始する予定だ。九州電力の管内では異常な猛暑だった今夏に1634万kWの最大電力需要を記録した。新設備の48万kWは約3%に相当する規模で、夏の需給状況の改善に大きく貢献する。

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