超大型風車2基を2014年に建設、世界に先駆けて実用化世界に先駆ける洋上プロジェクト(3)(2/2 ページ)

» 2013年10月16日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]
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3基で1万2000世帯分の電力を洋上から

 超大型風車による2つの発電設備は、洋上で第1期の発電・変電設備と組み合わせて運転する。第1期の発電設備「ふくしま未来」を中央に、1.6キロメートルの間隔で3基が一直線上に並ぶ配置になる(図5)。それぞれが変電設備の「ふくしま絆」と水中ケーブルでつながり、高い電圧に変換してから海底ケーブルを通して福島県内へ送電する仕組みだ。

図5 3基の発電設備と変電設備の配置。出典:福島洋上風力コンソーシアム

 計画では第2基の工事が2014年の7月から始まる予定で、発電設備の建設に2カ月程度かかる見込みである(図6)。並行して変電設備と接続するライザーケーブルの工事も進めて、9月には完了する予定だ。その後に確認試験などを実施して、順調にいけば年末までに試運転を開始できる段取りになっている。

図6 第2期の工事スケジュール。出典:福島洋上風力コンソーシアム

 合計3基の発電設備が稼働すると最大で16MWの電力を、洋上で吹く風の力で作り出すことができる。福島県の沖合は平均風速が7メートル/秒を超える好条件が期待でき、発電能力に対する実際の出力(設備利用率)は30%程度まで高まるだろう。そうすると年間の発電量は4000万kWhを超えて、一般家庭で1万2000世帯分の電力を供給できる発電所になる。

 第2期のプロジェクトは「浮体式洋上超大型風力発電機設置実証事業」という長い名前が付けられている(図7)。2015年度末までの2年間に、浮体式の発電・変電設備の技術的な検証を続ける一方で、近くを航行する船舶の安全性や、海洋生物を含む動植物に対する影響を詳しく調べる計画だ。さらに周辺海域で営まれる漁業との共存も重要なテーマになる。

図7 第2期の工事が完了した時点の施設全体。出典:福島洋上風力コンソーシアム

第4回:「技術検証と環境影響評価へ」

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