関西電力が上半期(4〜9月)の業績予想を大幅に上方修正した。7月末時点の予想から売上高が300億円、営業利益が740億円も増加する。その一方で販売量は減っている。5月に実施した電気料金の値上げ効果であることは明らかで、はたして適正な値上げ率だったのか。
関西電力の発表によると、「夏場の高気温の影響により電灯電力料収入が増加」したことが売上高を予想以上に押し上げる要因になった。上半期の売上高は7月末に予想した時点から300億円も増えて、1兆6100億円に達する見込みだ(図1)。前年同期と比べると2000億円以上も増加する。増収率は14%になり、絶好調と言えるような状況である。
ところが、夏場を含む上半期に販売した電力量は減っている。前年同期の販売電力量は712億kWhだったのに対して、今期は7月末の予想で704億kWh、さらに今回の修正で701億kWhまで下がった(図2)。夏の伸びは一時的なもので、定常的には需要が減少している。
それでも売上高が大幅に増えたのは、5月に電気料金を値上げしたからにほかならない。家庭向けと企業向けを合わせて平均9.75%の値上げを実施した効果である(政府の認可が不要な企業向けは4月から値上げを実施)。
特に値上げ率が大きかった企業向けの売上が増加したと考えられる。本来はもっと低い値上げ率でも十分に利益を出せたわけで、利用者には納得しがたい状況だろう。
これに関連して興味深いデータがある。資源エネルギー庁が電気料金の値上げを認可するために「電気料金審査専門小委員会」を年に何回か開催している。10月15日の委員会に提出した資料の中に、電力会社の従業員1人あたりの販売電力量と売上高を比較したグラフがある(図3)。東京電力1社だけが値上げを実施した2012年度の実績だ。
それぞれ地域による特性があるものの、通常は人口が集中する大都市圏を抱える電力会社の数字が大きくなるはずである。しかし関西電力の水準は東京電力や中部電力よりも低く、10社の平均並みにとどまっている。このデータは各電力会社の生産性を示すもので、関西電力には改善の余地があることを物語っている。
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