ブルドーザーの試験場跡地、メガソーラー用に全国で初めて取得税を減免スマートシティ

神奈川県の山間部にある14万平方メートルの広大な土地に、発電能力が13MWの大規模なメガソーラーを建設することが決まった。建設機械メーカー大手のコマツが開発車両の走行試験に利用していた場所である。発電事業者が用地を取得するにあたって、神奈川県は取得税を減免して支援する。

» 2013年10月31日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]
図1 「足柄大井ソーラーウェイ」の建設予定地(黄色部分)。出典:日本アジアグループ

 メガソーラーの建設予定地は神奈川県西部の足柄上郡大井町にある(図1)。14万平方メートルの用地を日本アジアグループが取得して「足柄大井ソーラーウェイ」を建設する計画だ。発電能力は13MW(メガワット)を予定していて、川崎市で稼働中の「扇島太陽光発電所」と並ぶ神奈川県で最大のメガソーラーになる。

 建設にあたって日本アジアグループと傘下のJAG国際エナジーは、神奈川県と地元の大井町を加えた4者間の相互協力協定を結んだ。発電事業者が地域振興や防災対策に協力する一方、自治体はメガソーラーの効用を宣伝するほか、税金を減免(減額あるいは免除)して事業者を支援する。

 減免の対象はメガソーラーの用地を取得する際の不動産取得税(県税)で、全国で初めてのケースになる。神奈川県は再生可能エネルギーの導入拡大などによって電力の自給率を高める「かながわスマートエネルギー構想」を推進中であり、その目的に沿った事業として支援することを決めた。

 足柄大井ソーラーウェイは2014年2月に着工して、2015年3月に運転を開始する予定である(図2)。年間の発電量は1270万kWhを見込み、一般家庭で3600世帯分の使用量に相当する。発電した電力は全量を東京電力に売電する方針だ。2013年度の買取価格(1kWhあたり36円)を適用すると、年間の売電収入は約4億5000万円になる。

図2 「足柄大井ソーラーウェイ」の完成イメージ。出典:日本アジアグループ

 この用地は建設機械大手のコマツがブルドーザーなどの走行試験を実施していた「松田試験場」の跡地である。コマツが試験場を他県に移設した後、2007年に閉鎖されたまま空き地になっていた。近くには東名高速道路の「大井松田インターチェンジ」があって、山間部ながら交通の利便性は高い地域である。

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