系統連系の設備コストを低減、小型変圧器の採用が効く蓄電・発電機器

大規模太陽光発電所や風力発電所を系統に接続する際に必要になる施設、接続点。接続点に設置した機器の電力消費をまかなう機器にコストアップ要因があった。日新電機が開発した小型変圧器は、接続点に設置する変圧器のコストを20%削減できるという。

» 2013年11月01日 20時30分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 大規模な自然エネルギー発電所を立ち上げる場合、発電所本体以外のコスト要因も無視することができない。例えば「接続点」だ。接続点の導入コストは発電所事業者が負担しなければならない。

 接続点は発電所の出力を系統(送電線)に接続するための施設(連系設備)であり、緊急時に発電所を系統から切り離す開閉装置などを設置する。これらの装置を動かすためには電源が必要だ。

 日新電機が開発し、2013年11月に販売を開始した電源供給システムは、特別高圧用(6万6000Vなど)の接続点に利用できる。計器用変圧器(PVT:Power Voltage Transformer)の技術を使ったことで、従来の変圧器(2段構成)と比較して電源コストを20%低減できるという。

 図1に従来の特別高圧変圧器(左)とPVTタイプの変圧器(右)の概要を示す。いずれも発電所から系統に向かう電圧が高いため、制御用機器が利用可能な三相200Vに変圧しなければならない。従来は500kVAの変圧器で6万6000Vから6600Vに変圧、次に50kVAの変圧器で6600Vから210Vへ2段階に変圧していた。

 開発品にPVTを採用した理由は2つある。「接続点に必ず置くガス絶縁開閉装置(GIS)が使う電力は約3kVA、照明や空調、融雪装置などの付帯設備を考慮してもさらに約10kVAが上乗せさせる程度だ。このため、小容量のPVTでもまかなうことができ、容量は25kVAとした」(日新電機)。もう1つは同社がPVTに強みがあったことだ。PVTは本来計器用に電力を供給するための設備であるため、精度が求められる。「当社は各種の工場向けにPVTを導入した実績が多くあり、そのノウハウを用いて接続点用の電源を開発した」(同社)。

 PVTタイプを製品化する際、GISや変圧変流器(VCT:Voltage Current Transformer)と一体化した構成を取ることで、機器コスト以外のメリットも生まれた。設置面積を20%低減、重量も約11トン減らすことができたため、機器の輸送費や基礎工事のコスト低減につながる。さらに従来の変圧器は無負荷時に損失が生じるが、新開発の電源はこれを防ぐことができるという。

図1 新旧の電源の比較。出典:日新電機

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.