2つで1つのメガソーラーが山梨に、出力が3MWになった理由とは自然エネルギー

三星ダイヤモンド工業と日鉄住金物産が出資する事業運営会社が、群馬県館林市に続き山梨県上野原市で3MWのメガソーラーを立ち上げた。連系接続の容量制限から1.5MWの発電所2つを同じ敷地に建設した形だ。

» 2013年11月12日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 山梨県上野原市と発電所の位置

 出力3MWのメガソーラー「MDI-SBソーラー上野原発電所」(山梨県上野原市大野)が2013年11月に完成した。中央自動車道の談合坂サービスエリアにほど近い立地だ(図1)。

 発電所を運営するのは2012年10月に設立されたMDI-SBソーラー。三星ダイヤモンド工業と日鉄住金物産が共同で設立した太陽光発電事業運営会社だ。MDI-SBソーラーは2013年5月に群馬県館林市で出力2MWのメガソーラーを立ち上げており、今回は2つ目の太陽光発電所となる。「当社は液晶パネル製造時に使う分断装置のシェアが国内トップであり、日鉄住金物産が装置を販売している関係で、共同設立に至った。当社は太陽電池の加工装置の製作販売にも取り組んでいる」(三星ダイヤモンド工業)。

 日鉄住金物産は単独でも太陽光発電の取り組みを進めている。2013年3月に発電を開始した「エクセディSB兵庫」(1.75MW)に60%出資した他、海外ではマレーシア(1MW、同49%)で発電中であり、2013年11月にはタイ(24MW、同30%)でも送電を開始する予定だ(関連記事)。

2つの発電所に分けた理由とは

 MDI-SBソーラー上野原発電所に対する総投資額は約9億円。設計・調達・建設(EPC)は関西電力グループで設備工事を担うきんでんに依頼した。2013年4月に着工、2013年11月に完成した。想定年間発電量は約400万kWh。固定価格買取制度(FIT)を利用して、20年間、東京電力に売電する。1kWh当たりの買取価格は42円(税別)。

 14万7564m2の敷地は、約半分が上野原市の市有地であり、残りが20人ほどの個人の所有地だ。もともとは日野自動車の車庫があった土地である。敷地のうち、7万1550m2に太陽電池モジュールなどを設置した。

 MDI-SBソーラー上野原発電所の外観を図2に示す。図2を見ると、右上側と左下側で太陽電池モジュールの色がはっきりと異なる。どうしてだろうか。

 「今回の立地について東京電力に接続検討(連系検討)を求めた結果、最大出力1.5MWまでしか接続できないことが分かった。ただし、1.5MW以内であれば2カ所接続できるため、1つの敷地をフェンスで2つに分け、それぞれ1.5MWの第1発電所と第2発電所を立ち上げた」(三星ダイヤモンド工業)。

 右上側の第1発電所では、ソーラーフロンティアのCIS薄膜太陽電池モジュール(出力160W)を選択、1万2600枚を角度10度で設置した。第2発電所は中国レネソーラー(ReneSola)の多結晶Si(シリコン)太陽電池モジュール(出力260W)を7560枚設置、設置角度は20度だ。いずれも太陽電池アレイからの出力は約2MWになる。どちらの発電所も東芝三菱産業システムのパワーコンディショナー(容量500kW)を3台用い、系統へは高圧で最大1.5MWを出力している。

 架台には日鉄住金物産のグループ企業である日鉄住金建材のソーラーフレームEco(高耐食めっき鋼板「スーパーダイマ」を利用)を採用した。第1発電所では450基、第2発電所は378基である。いずれもコンクリート既成杭基礎(合計3312本)の上に設置した。

図2 MDI-SBソーラー上野原発電所の外観。出典:三星ダイヤモンド工業

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