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» 2013年11月14日 15時00分 UPDATE

自然エネルギー:国内初の取り組み――使用済み太陽電池を回収して再資源化する

太陽光発電システム鑑定協会は、使用済みの太陽電池を回収して再資源化するサービスを2014年1月に開始する。今後2〜3年で廃棄量が急増すると予測できるため、社会問題になる前に民間の力でサービスを始める。太陽電池1枚当たり、1200円を徴収する。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 普及が急速に進む太陽光発電。しかし、表面化していない課題が残っている。古くなった太陽電池の「廃棄」や「リサイクル」をどうするかという問題だ。別掲記事で紹介したように、エネルギー収支を考えると太陽電池は廃棄せず、なるべくリサイクルした方がよい。

 「太陽電池モジュールの回収から再資源化まで、一貫して扱う国内初のサービスを2014年1月末から開始する。国の法制化を待たずに、民間だけの力で始める」(太陽光発電システム鑑定協会)。標準的な戸建住宅に搭載された太陽電池モジュールの回収には、現時点で10万円以上を要する。「われわれのサービスでは1枚1200円を徴収して回収する」(同協会)*1)。再資源化を扱う専業企業と協力関係を築いたことで実現につながった。

 環境省は使用済みの再生可能エネルギー設備関連のリユース、リサイクルについての取り組みを進めており、2012年度には「使用済再生可能エネルギー設備のリユース・リサイクル基礎調査委託業務 報告書」を公開している。今、民間だけの力でサービスを始める理由は何だろうか。

yh20131114Kantei_graph_590px.jpg 図1 太陽電池モジュールの排出量の予測値(トン)。出典:太陽光発電システム鑑定協会

 1つは時間軸がずれていることだ(図1)。「今後2〜3年で太陽電池モジュールの排出量が急増する。しかし、環境省のワーキンググループで検討されている枠組みが実現するには5〜6年掛かりそうだ。社会問題にならないうちにサービスを始めなければならない」(同協会)。現在の廃棄物の枠組みには問題が多いのだという。「法規制に従って廃棄すると、多くの地域で太陽電池は一般廃棄物や産業廃棄物に分類され、埋立処理されてしまう。太陽電池には取り出し可能な有価物が含まれている他、古い製品を中心に鉛はんだが含まれている。われわれのサービスでは有価物を取り出し可能であり、鉛はんだを取り出す工程も含まれている」(同協会)。

 有価物が回収できないこと、環境に有害な物質が拡散してしまうこと、有害物質が一元管理されていないこと、全国に統一廃棄ルールがないことが問題だという主張だ。

 太陽電池モジュールにはどのような有価物が含まれているのだろうか。太陽電池セル(シリコン)とフレーム材のアルミニウム、ガラス、電極に使われている銀だという。「ガラス再資源化協会や、大手の金属精錬企業と連携しており、有用物質をほぼ全て回収できる」(同協会)。

最大の課題は受け入れにある

 図2は同協会の事業の内容をフローチャートで表現したものだ。「フローチャートのうち、(2)以降は確立できた。課題は(1)にある」(同協会)。太陽電池モジュールの重量は1枚当たり20kg程度あり、屋根に固定されている。取り外し作業を誤ると雨漏りの原因にもつながる。ユーザーが直接回収することは不可能だ。しかし、設置した業者に依頼する手順も確立されていない。そもそも設置後20年が経過すると業者と連絡が取れない場合もある。

 「屋根から下ろす作業は地域ごとに集中して取り組むことが重要だ。トラック配送は1日当たりで料金が決まるため、集中して作業しないと運送費用がかさんでしまうからだ。今後は企業同士の連携をより密にしていく」(同協会)。現在準備が整った検査場は中部地方と関東地方に集中しているという。

 太陽電池モジュールを分解せず、そのままリユースすることはできないのだろうか。「家庭用の製品はメーカーや型番がばらばらであり、リユースが難しい。メガソーラーなど大規模な場合は、目視検査に加えて(特性インピーダンスの測定が可能な)TDR(Time Domain Reflectometry:時間領域反射)技術を使う。通電しなくても太陽電池モジュールの特性を測定できるため、作業時間が短く、リユースにつながりやすい」(同協会)。

 今回のサービス開始以前から太陽電池モジュールのリユースは引き合いが多いという。このため、図1の(3)の部分に力を入れるとした。ただし、ここにも課題がある。(4)の一時保管と、価格水準だ。「廃棄物処理法により、一時保管が可能なのは7日間に限られる」(同協会)。従って顧客の引き合いとのマッチングを取ることが難しい。価格の問題とは新品の値下がりが著しいことだ。時間との戦いに加えて、価格差との戦いが待っている。

yh20131114Kantei_flow_590px.jpg 図2 再資源化に至るフローチャート。出典:太陽光発電システム鑑定協会

*1) モジュールの重量が18kg以下の結晶シリコン系太陽電池の場合。

【訂正】 記事の掲載当初、冒頭の要約部分で「1200円を支払う」、本文の第2段落で「……1枚1200円を支払って回収する」としておりましたが、これはそれぞれ「1200円を徴収する」「……1枚1200円を徴収して回収する」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。上記記事はすでに訂正済みです。

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