閉山後40年の足尾銅山にメガソーラー、硫酸工場の跡地を活用自然エネルギー

江戸時代から昭和にかけて日本最大の産出量を誇った足尾銅山だが、すでに閉山から40年が経過した。生産設備のひとつに硫酸工場があって、その跡地に本日12月2日からメガソーラーが動き出す。日本の産業を支えた歴史的な場所が再生可能エネルギーの供給地に生まれ変わる。

» 2013年12月02日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 山から掘り出された銅には大量の硫黄分が含まれている。銅を精錬する工程で有害な硫黄酸化物が発生するため、それを硫酸に加工して工業用品や医薬品に再利用するのが一般的だ。足尾銅山の精錬所(栃木県日光市)にも硫酸工場があったが、2010年に解体された後は空き地になっていた(図1)。

図1 旧・足尾製錬所の硫酸工場跡地。出典:古河機械金属

 足尾銅山を運営してきた古河機械金属(1989年に古河鉱業から改名)は環境に配慮した遊休地の活用法を検討した結果、メガソーラーの建設を選択した。1万2000平方メートルの土地に発電能力1MW(メガワット)の太陽光発電設備を設置して、2013年12月2日に運転を開始する(図2)。

 年間の発電量は当初は92万kWhを見込み、発電した電力の買取期間である20年間の平均では85万kWhになると予測している。時間の経過とともに太陽光パネルの性能が劣化するためで、20年間に約15%の減少を想定する。

図2 完成したメガソーラー。出典:古河機械金属

 すでに2013年2月には経済産業省から固定価格買取制度の設備認定を取得して、3月には東京電力に接続契約の申し込みを済ませていることから、2012年度の高い買取価格(1kWhあたり40円)が適用される。想定通りの発電量になれば、20年間で6億8000万円の売電収入を得ることができる。

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