1時間ごとに5MWを設置、アジアが太陽光を主導する自然エネルギー

2014年の太陽光発電市場は、2013年から35%成長して49GWに達する。これは太陽光発電に関する調査会社である米NPD Solarbuzzの予測だ。35%という水準はここ4年のうちで最も高く、中国と日本が主導し、インドとオーストラリア、タイの5カ国で世界市場の半分を占めると予測した。

» 2014年01月06日 09時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 太陽光発電に関する調査会社である米NPD Solarbuzzは、2014年の太陽光発電市場に関する2つの予測を発表した。世界市場の規模と、世界市場に占めるアジア太平洋地域の比率である。

 世界市場(新規導入量)の規模は、2013年の36GWから、2014年には49GWへ、36%成長する見通しであるとした(図1)。同社のバイスプレジデントであるFinlay Colville氏は今回の予測について、次のようにまとめている。「2011年から2013年にかけて、太陽光発電業界は過剰生産能力と価格崩壊のため、成長率が前年比10〜20%レベルにとどまっていた。価格をめぐる環境の安定と最終市場のグローバル化進行の見通しから、2014年には太陽光発電業界の年間成長率が30%超の水準に回復する」。なお、2015年の予測値は50GW水準であるとした。

図1 2008〜2014年における太陽光発電市場の規模。縦軸はGW。出典:米NPD Solarbuzz

 予測を裏付ける数字も出始めている。2013年の推計値を見ると、第4四半期に過去の最高記録を更新して12GWを超える。2014年第1四半期はこの記録をさらに更新するという。2013年10月から2014年3月までの6カ月間の設置容量の予測値はほぼ22GWとなる見通し。これは欧州市場が太陽光発電を主導していた2005年から2009年までの総設置容量を上回る数字だ。同社はこの22GWという数字がいかに巨大なものであるかを次のように紹介している。1時間当たり5MW、1日当たり120MWという設置作業を6カ月継続したものだと。

 以上のような需要拡大により、太陽電池用シリコンウエハーや太陽電池セル、太陽電池モジュールの生産規模も拡大し、1次サプライヤ(ティア1メーカー)向けの製品の生産稼働率が90%を超えるとした。生産コスト低減にも拍車が掛かる。2014年末までに生産コストが1W当たり0.50米ドル以下になると見積もった。大手の中国系結晶シリコンモジュール企業の多くで実現するという。同社によれば生産コストの低減により、メーカーの営業利益率が改善し、生産能力を拡大する投資を8カ月ぶりに再開するための余力ができるという。

アジア太平洋地域が世界需要の50%を占める

 2番目の予測―――世界市場に占めるアジア太平洋地域の比率については、同社は約50%という数字を公開した。2014年にアジア太平洋地域で新規に設置される太陽発電市場の規模は2013年から35%成長し、23GWを超える。これは同地域として過去最高の規模だ。この数字は2010年に全世界に設置された容量を上回っている他、ドイツとイタリアが世界市場を主導していた2011年当時の欧州の設置容量(19.2GW)をも超えている。

 2013年第4四半期の需要を作り出していた国は中国、日本、米国だという。新規に設置された太陽電池モジュールのうち、3分の2が3カ国に集中していた。アジア太平洋地域に限定すると、85%以上を中国と日本が占め、18GWを超えるとみられている。

 2014年にアジア太平洋地域で新規設置される太陽電池モジュールのうち、約95%は、中国と日本、インド、オーストラリア、タイの5カ国に集中するという(図2)。

図2 アジア太平洋市場の構成と成長。縦軸はGW。出典:NPD Solarbuzz

 中国市場の動きは次のようなものだ。中国国家エネルギー局は2014年の新規太陽電池モジュールの設置目標を12GWとした。このうち、屋根設置タイプが8GW、地上設置タイプが4GWを占める。中国は屋根設置タイプを増やそうと努力している。

 同社によれば、2014年の注目市場はタイだという。同国は2021年までに総発電量に占める再生可能エネルギーの比率を25%まで高める政策目標を打ち出している。この目標はこれまでよりも高い値だ。同国の国家エネルギー政策委員会は地域社会ベースの太陽電池モジュールを800MW設置する他、200MWを屋根設置タイプとする計画を公表している。

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