「ダム」の新しい用途を開拓、ひと味違う兵庫県の発電事業自然エネルギー(2/2 ページ)

» 2014年01月10日 09時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
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3つのダムで取り組む

 兵庫県企業庁は所有する土地を利用して太陽光発電を広げる取り組みを進めている。2013年4月に公開した「企業庁メガソーラープロジェクト」は、10カ所に11の発電所を建設するというものだ。全ての設置面積を合計すると31.3ha、総出力は24.29MW、1年間の予想発電電力量の合計は2599万kWh。2013年12月時点では、公募の結果、当初案よりも設置面積や出力が多少増えている(図5)。

 図5にあるようにプロジェクトのうち3カ所でダムののり面を使う。平荘ダムの他、同じ加古川市平荘町にある工業用水用の「権現ダム」と、姫路市にある水道水用の「神谷ダム」である。

図5 企業庁メガソーラープロジェクトの施設一覧。なお、平荘ダムの発電出力は公募の結果、1999kWに増えている。出典:兵庫県企業庁

 これらの発電事業では、企業庁の所有する土地を使い、完成後の発電所は企業庁が運営し、売電収益を得る。設計・調達・建設(EPC)は、公募の結果当選した企業が進める。

 平荘ダムに建設する発電施設については、2013年10月に公募を開始し、同12月26日に三和電気土木工業・ノバック特別共同企業体が当選した。今後、関西電力に接続検討(連系系統)を申し込み、その後、企業庁と当選企業の間で契約を取り交わす。企業庁は2014年3月末までに契約に持ち込み、固定価格買取制度(FIT)の買取価格34円/kWh(税別)の適用を受けたいとしている。

発電量の保証を求める

 三和電気土木工事・ノバック特別共同企業体が提示した建設費は、7億6530万円だ。直流出力が約2MWのメガソーラーとしてはいくぶん高額にみえる。「公募の段階から、20年間の収益が最大になる提案を募集している*2)。施設完成後20年間の売電収益から建設費を差し引いた額(概算収益)が最大になった企業を当選者とした。建設費だけを見ると、当選者よりも低い金額を提示した企業もあった」(水道課)。

 このような意図があったため、公募時に求めた想定年間発電量*3)にも縛りをかけた。「20年間の発電量の最低保障を求めており、それを下回った場合、太陽電池の交換などを求める文言が入っている」(水道課)。発電能力が低い機器などが公募に入り込む余地をなくすことが目的だ。

*2) 正確には評価点100点のうち、90点を概算収益の値に置いた。
*3) 企業庁によれば新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公開している日射量データベースにある値を実際の発電量の計算にほぼそのまま適用できるという。実際の想定年間発電量は、出力(MW)×1000hまたは出力×1100hという値になるとした。

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