「風の松原」に17基の大型風車、秋田県の日本海沿岸で風力発電が拡大スマートシティ

数多くの風力発電所が集まる秋田県の日本海沿岸で、新たに県内最大規模のプロジェクトが進行中だ。能代市の海岸線に沿って続く松林に17基の大型風車を建設する計画で、発電規模は39MW(メガワット)に達する。2016年10月の完成を目指して、着工前の環境影響評価の段階にある。

» 2014年01月20日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]
図1 風力発電事業の実施区域。出典:風の松原自然エネルギー

 風力発電所の建設予定地は「風の松原」の愛称で呼ばれる能代市の名所だ。海岸線に沿って幅1キロメートル、長さは14キロメートルに及び、700万本の松林は日本で最大規模である。この松林の中に17基の大型風車を建設するプロジェクトが進んでいる(図1)。

 現在の計画では「A地区」と「B地区」の2カ所に分けて、10基と7基の風車を建設する予定である(図2)。1基あたりの発電能力は2.3MW(メガワット)で、合計すると39MWになる。秋田県内では「西目ウインドファーム」の30MWを抜いて最大の規模になる見込みだ。

図2 風力発電機の設置計画。出典:風の松原自然エネルギー

 2つの地区のあいだには、同じ松林に隣接して「能代風力発電所」が24基の風車で2001年から稼働を続けている。新設する17基を加えると、40基を超える風車が海岸線に建ち並ぶ(図3)。運転開始はB地区の7基が先で2015年11月に、遅れてA地区の10基が2016年10月を予定している。すでに東北電力と電力需給の仮契約も締結済みだ。

図3 風力発電所の完成イメージ。出典:風の松原自然エネルギー

 着工は2014年6月を見込んでいるが、それまでに環境影響評価の手続きを完了する必要がある。現在は3段階の手続きのうち第2段階の「準備書」を経済産業省に提出して、地元の自治体を含めて意見を集約している状況にある。

 隣接する能代風力発電所と比べると、1基あたりの発電規模は約4倍になり、風車の羽根(ローター)の直径も82メートルと約2倍になる。周辺の住民や動植物などに対する影響評価に万全を期すことが求められる。

 この風力発電所の事業者は秋田県内の民間企業9社が2012年に設立した「風の松原自然エネルギー」で、地元の能代市も出資している。能代市は地域の活性化とエネルギーの自給を目的に「エネルギーのまち」をビジョンに掲げて、再生可能エネルギーの導入を積極的に推進している。

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