化石燃料以外の3種類のエネルギーの推移は、OECDとOECD以外で大きく異なるという。それを示したのが図3だ。OECD(左)では化石燃料以外で伸びを支えるのは再生可能エネルギー(バイオ燃料を含む)だ。水力はわずかながら増えていき、原子力は少しずつ減っていく。OECD以外(右)では水力が最も重要で、再生可能エネルギーと原子力の寄与はほぼ等しい。
これらの傾向は、OECD以外の諸国が再生可能エネルギーの導入に消極的だということを表しているのだろうか。そうではない。電力に占める再生可能エネルギーの比率や、再生可能エネルギーから得られる全力の絶対量から分かることだ。
中国やインドは再生可能エネルギーにかなり力を入れているものの、需要の増加に追い付いていないことが分かる。図4の左は発電量に占める再生可能エネルギーの比率を示す。最も絶対量が多い、欧州(草色)、米国(空色)、中国(薄緑)の値を示した。2035年には欧州が30%を超え、米国も20%弱となる。中国も10%程度まで成長する。図右は、2012年から2035年までの再生可能エネルギーによる発電量の累計値だ。中国が最も多く1000TWhを超えている。次いで、欧州、米国の順だ。なお、OECD Asiaには日本と韓国が含まれている。
BPは、市場予測をエネルギー需要の観点からまとめている。需要について特に3つの問題意識を提示した。需要とつりあう供給が可能かどうか、各地域でエネルギーを自給できるかどうか、持続可能かどうかだ。
1番目の問題については、エネルギー需要をまかなう供給が得られるという。シェールガスやシェールオイル(タイトオイル)、再生可能エネルギーなどの新しいエネルギー源が導入されるからだ。BPはエネルギーの利用効率の向上も試算に含めている。
2番目については地域によって状況が異なる。北米はエネルギーの自給率が次第に上がり、自給自足が可能になっていくとした。しかし、欧州全体と中国、インドはよりエネルギーの輸入依存度が高まるという。
最も悪いのが持続可能性だ。化石燃料の比率が下がらないまま、エネルギー需要が増加するため、世界の二酸化炭素の排出量は29%増加すると結論付けた。これは気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)がまとめた温室効果ガスの削減目標とは相いれない。従って、世界の平均気温の上昇を2度以内に抑えるというIPCCの目標の達成は、このままでは難しいことになる。
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