2020年に30%下がるシステムコスト、太陽電池モジュール「以外」が寄与自然エネルギー

米国の調査会社であるLux Researchは2020年時点の太陽光発電システムのコストがどのように下がるのかを予測した。それによると、太陽電池モジュール以外のコスト低減が大きく、工期短縮や自動設置、高圧での処理などがコストダウンの要因になるという。

» 2014年01月29日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 米国の調査会社であるLux Researchは2014年1月、将来の太陽光発電システムのコストの見通しを発表した。2020年には現在よりも最大約30%下がるという結論だ。

 太陽光発電システムのコストは、一般にハードウェアとそれ以外に分かれる。ハードウェアには太陽電池モジュールやパワーコンディショナー、架台や配線などが含まれる。地域によって異なるものの、コストの4割をハードウェアが占める。それ以外の部分は、流通費用や施工に必要な人件費、系統連系の手続きや税などである。

 Lux Researchの予測では、全コストを太陽電池モジュールとそれ以外に分けている。これまでは太陽電池モジュールの価格低減によって、システムコストが下がってきた。今後は、それ以外の部分(BOS:Balance Of System)のコストダウンがシステムコスト全体の低減に結び付くとした。さまざまな太陽光発電システムのうち、特に住宅向けに効くという。地域によって、システム全体のコストは15%から30%低減する。

 住宅向けシステムではBOSのうち、人件費部分が下がる。これはより設置が容易な仕組みが採用されることで、工事に必要な時間が短くなるためだ。

 太陽電池モジュールの種類や規模によってもシステムコストがどの程度低下するかが異なるという。大規模な発電システムでは、薄膜太陽電池モジュールを採用した場合の下げ幅が最も大きくなる。これは変換効率の向上が最も見込めるからだという。大規模なシステムでは太陽電池モジュールの自動設置技術に期待できる他、接続箱や集電箱、パワーコンディショナーなどで扱う電圧を1500Vまで高めることでコストダウンが進むと予測した。

 発電システムの設計、設置から発電、撤去までの全てのコストを、生涯発電量で割った均等化発電原価(LCOE)の値についても予測した。BOSコストの低下と、太陽電池モジュールの変換効率の改善によって、2020年には現在の値と比較して、1kWh当たり0.04〜0.08米ドル下がるという。

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