コンテナ型リチウムイオン蓄電システムは多数のセル(単位電池)を組み合わせて、巨大な容量や出力を実現している。「コンテナ内にラミネートシート状のリチウムイオン蓄電池セルを約5万枚収めた。セルの出力電流は20Aである」(IHI)。
図3に同社のリチウムイオン蓄電池セルの一例を掲載した。IHIのセルはオリビン型の結晶構造を持つリン酸鉄リチウム(LiFePO4)を正極材料として用いている。同材料の性質は安定性が高いこと。充放電による結晶構造の劣化が起きにくいため、寿命が長くなる。比較的高温環境下での利用や、長期間の利用に向いている。
IHIは2009年に米A123 Systemsと事業提携を結んでおり、リチウムイオン蓄電池システムの事業化を進めてきた。A123 Systemsはリチウムイオン蓄電池のセルやシステムを開発・製造する企業。
IHIは事業提携後、2011年には東京消防庁向けに非常電源を納入(関連記事)。熱安定性が高いことなどが評価されたという。2012年には東京都羽村市で運行する電池駆動のコミュティバス「はむらん」(定員31人)の電源として採用された。はむらんは電池駆動の路線バスが実用運行した事例として日本初。
以上の事例では数十cmサイズのリチウムイオン蓄電池モジュールを利用した。今回は初めてコンテナ型を採用した事例である。コンテナ型システム自体は既にA123 Systemsが米国やチリ、ブラジルなどに十数システムを納入しており、相馬事業所向けのコンテナもA123 Systemsのものを用いた。
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