世界最大出力の風力発電機、デンマーク社が三菱重工と8MW機で攻勢自然エネルギー(2/2 ページ)

» 2014年02月06日 13時50分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
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三菱重工業の技術を取り入れる

 Vestasは風車メーカーとして世界シェア1位の企業。5万基以上が世界73カ国で利用されている。陸上風力発電設備で1位、洋上風力発電設備でもドイツSiemensに次いで2位の位置にある。洋上風力発電設備では1990年にデンマークで第1号機を建設、2013年10月までに581基(合計出力約141万kW)が導入済みだ。

 Vestasは洋上風力発電分野を強化するため、2013年10月に三菱重工業と折半出資で合弁会社を設立することで合意、両企業の洋上風力発電設備事業を分割、集約して発足させる形だ。新機種の開発、設計、調達、製造といった上流部分はもちろん、販売、アフターサービスなどの下流も扱う。三菱重工業は合弁会社に1億ユーロを出資し、発足後の実績に応じてさらに2億ユーロを投じる計画だ。

 今回開発に成功したV164-8.0MWと、出力3MWの「V112-3.0MW」を利用して事業を進める。ナセル内部で風車軸と発電機を接続する部分には三菱重工業が開発した新型ドライブトレイン(DDT:Digital Displacement Transmission)も組み込む予定だ。

図2 ナセル部分を拡大したところ 出典:Vestas Wind Systems

 風車の回転数は風速に依存するため一定にはならない。加えて風車の回転速度が低いため、何らかの方法で増速しないと発電には向かない。いずれもナセル内部のドライブトレインと呼ばれる増速機構が重要になる(図2)。

 競合メーカーがギア式増速機を採用するなか、三菱重工業はデジタル制御油圧ドライブトレインを開発。200台程度の油圧シリンダを組み合わせた油圧ポンプ(DDP)と、油圧ポンプから送られてくる高圧油を使って回転する油圧モーター(DDM)を組み合わせた形を採る。油圧シリンダをデジタル制御することで、油圧を一定に保ち、発電機を一定速度で回転させる仕組みだ。

 発電機後段に取り付ける周波数変換装置が不要になる他、一般的な発電機を採用できるようになる。大型化に向き、メンテナンス性がよいという特徴がある。

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