工場のピークシフトに適するコージェネ、ガス発電で熱も得るエネルギー管理

機械部品などを製造する工場では電力と同時に熱を使う。空調はもちろん、部品の洗浄などに必要だからだ。ジェイテクトは用途に応じて複数のコージェネレーションシステムを導入している。2014年2月にはピークカットを目的として、総出力1000kWのシステムを東京工場に導入した。

» 2014年02月10日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 東京都羽村市と工場の位置

 コージェネレーションシステムは発電機で電力を生み出しながら、同時に排出ガスの排熱を利用して、熱需要を満たす仕組みだ。例えば、工場では電力はもちろん、さまざまな工程で熱を使う。このため、同システムの導入に向いている。

 機械部品や電子制御機器などを製造するジェイテクトは2014年2月に、4基目となるコージェネレーションシステムの運転を開始した。3億8000万円を投じ、2013年9月に着工、2014年1月末に完成したものだ。

 針状ころベアリングや等速ジョイント、ドライブシャフト、プロペラシャフトなどを製造する東京工場(羽村市)が導入先である(図1)*1)。三菱重工業の天然ガスタービン発電機を利用した。

 導入したシステムの総出力は1000kW(図2)。総エネルギー効率は61.8%であり、そのうち、40ポイントを電力として生み出す。残りの14.8ポイントを空調機で利用する高温水として、7ポイントを洗浄機で使う蒸気として取り出す。

 「主に工場で利用する電力のピークカットに使う。2010年比で工場全体のピーク電力を15%減らすことができる」(ジェイテクト)。このため、常時駆動するというよりも必要に応じて利用する形になりそうだ。

*1) 導入に当たり経済産業省の自家発電設備導入促進事業費補助制度と、環境省のCO2排出量大幅削減事業設備補助制度を利用した。

図2 東京工場に設置したコージェネレーションシステム 出典:ジェイテクト

 同社によれば、東京工場とは異なる使い方をするコージェネレーションシステムもある。2012年秋と、2013年5月の2期に分けて国分工場(大阪府柏原市)に導入したシステムだ。常時運転することを考えたため、総エネルギー効率が74.1%と高い構成を作り上げた。効率が高いため10年で投資を回収できるという。

 機器の構成は東京工場とはかなり異なる。大阪ガスが開発した複数台の小型のコージェネレーションシステム(ガスエンジン)を組み合わせる個別分散方式を採ったことが第1の工夫だ。第2の工夫は関西電力の吸着式冷凍機を組み合わせることで、発電時に発生する低温水から冷熱を作り出すことだ。これで効率が高くなった。

 ジェイテクトは今後も自家発電比率を高めようと計画しており、2011年度の実績値4.3%に対し、2016年度の目標は20%である。

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