太陽熱で世界最大392MWの発電所、カリフォルニア州の砂漠で稼働自然エネルギー

日本では想像もできない巨大な太陽熱発電所が米国カリフォルニア州で運転を開始した。砂漠の中の広大な敷地に35万枚の反射鏡を並べて、集光した太陽熱で蒸気を発生させて発電する。3基の発電設備で392MW(メガワット)の電力を作り出し、米国の家庭で14万世帯分を供給することができる。

» 2014年02月17日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]
図1 「イバンパ太陽発電所」の所在地。出典:米NRG Energy

 世界最大の太陽熱発電所はロサンゼルスから東へ400キロメートルほどの場所にある(図1)。米国の南西部に広がる「モハーベ(Mojave)砂漠」の中にあって、焼けつくような太陽光が降り注ぐ。その熱い光を集めて高温の蒸気を発生させることで、大量の電力を作り出すことができる。

 「イバンパ太陽発電所(Ivanpah Solar Electric Generating System)」は政府が所有する3500エーカー(約1400万平方メートル)の敷地に建てられた。主な発電設備は高さが約140メートルあるタワーに収容されていて、全部で3つのタワーがある(図2)。

図2 発電所の全景。出典:米NRG Energy

 タワーの周囲には太陽光を集めるための反射鏡が放射状に設置されている。全体で実に35万枚にも及ぶ。いずれも2枚の反射鏡が1組になっていて、太陽光の向きに合わせてソフトウエアによる制御で自動的に角度が変わる仕掛けだ。1枚の反射鏡の面積は約7平方メートルある(図3)。

図3 太陽光を反射するための平面鏡(手前)、発電設備を収容したタワー(後方)。出典:米NRG Energy

 反射鏡に当たった太陽光はタワーの上部にある受光器に集まり、その熱を使ってボイラーで蒸気を発生させる(図4)。虫眼鏡で太陽光を集めれば紙を燃やすことができるように、太陽熱によって蒸気の温度は摂氏550度を超えるほど上昇する。

 高温の蒸気はタワーの中のパイプを通って地上にあるタービンに送り込まれて、その後は通常の火力発電と同様にタービンが高速に回転して発電する。ただし火力発電と違って化石燃料を必要とせず、太陽エネルギーを使うためにCO2を排出しないクリーンエネルギーになる。

図4 発電設備の構造。出典:米BrightSource Energy

 イバンパ太陽発電所は約3年間の工事を経て、2013年12月31日に営業運転を開始した。3つのタワーを合計した発電能力は392MW(メガワット)に達し、年間の発電量は米国の一般家庭の電力使用量(平均1万1000kWh=日本の約3倍)に換算して14万世帯分に相当する。全量を地域の電力会社2社に供給している。

 総工費は22億ドル(約2200億円)で、発電所を運営するNRG Energyのほかに、発電設備を供給したBrightSource Energy、さらには再生可能エネルギーの拡大に積極的なGoogleも出資した。

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