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» 2014年02月25日 09時00分 UPDATE

エネルギー列島2013年版(47)沖縄:海洋温度差で未来をひらく、離島の自給率100%へ太陽光と風力も加速

沖縄県は恵まれた自然環境の中で特殊な電力事情を抱えている。未来に向けて電力の地産地消を図るために、島ごとに独自の再生可能エネルギーに取り組む。海洋深層水を利用した温度差発電で久米島が先行する。宮古島では太陽光と風力を組み合わせた実証プロジェクトが成果を上げている。

[石田雅也,スマートジャパン]

 海に囲まれた日本では海洋エネルギーが有望で、特に洋上風力発電と海洋温度差発電に注目が集まっている。いずれも沖縄県には大きな可能性が広がっていて、特に海洋温度差発電では世界の最先端を行くプロジェクトが進行中だ。沖縄本島から西に約100キロメートル離れた久米島にある実証設備が、2013年4月に出力50kWで発電を開始した(図1)。

ondosa1.jpg 図1 久米島の「海洋温度差発電実証設備」。出典:沖縄県商工労働部

 海洋温度差発電の仕組みは地熱発電で使われるバイナリー方式に近い。沸点の低いアンモニアなどを、温度の高い水を使って蒸発させる。その蒸気でタービンを回して発電した後に、温度の低い水で冷やして液体に戻す方法だ。久米島の実証設備では、蒸発器と凝縮器に熱伝導率の高いチタンを使って発電効率を向上させた(図2)。

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ondosa2.jpg 図2 実証設備の構成(上)と発電原理(下)。出典:沖縄県商工労働部

 温度差発電の冷却プロセスには、海洋深層水を使う。久米島の近海では水深700メートルで水温が5〜7度くらいになる。温度が低い状態で安定していて、しかも不純物が少ない。その一方で南国の特徴として、海面に近い表層水は年間を通じて25〜30度の状態にある。海洋温度差発電には絶好の立地条件がそろっている。

 当面は実証設備で性能試験を続けながら、次のステップで発電能力が1〜2MW(メガワット)の商用設備を開発する計画だ。久米島の電力需要はピーク時でも10MW以下に収まることから、稼働すれば島内で必要な電力の10%以上をカバーできることになる。

 沖縄県では本島を含めて電力の100%近くを火力発電に依存している。特に離島は電力需要が少なく、ディーゼルエンジンによる小規模な火力発電設備で電力を供給する。燃料に重油を使うために発電コストが高く、有害な排気ガスも大量に放出してしまう。美しい自然環境を守るうえで再生可能エネルギーの導入を急がなくてはならない。

 久米島からさらに南西へ200キロメートル離れた宮古島では、早くから太陽光発電と風力発電に取り組んできた。沖縄電力が2010年に「宮古島メガソーラー実証研究設備」の運用を開始して、火力発電と組み合わせた効果や影響の検証を続けている。メガソーラーの発電能力は4MWで、宮古島の電力需要のピークである50MWの8%を供給することができる(図3)。

miyakojima.jpg 図3 「宮古島メガソーラー実証研究設備」の概要と全景。出典:沖縄電力

 実証研究は2014年3月に終了する予定だが、すでに有効性を確認済みだ。大容量の蓄電池を使ってメガソーラーの電力を制御して、安定した電力を送り続けることが可能になった。島内に分散する風力発電所の電力も活用しながら、火力発電の電力を減らすのに有効である。

 沖縄県では陸上と洋上のどちらにも強い風が吹き、風力発電を展開する余地は大きく残っている。ただし台風が数多く襲来するために、風車の許容範囲を超えるような強風に耐えなくてはならない。そこで威力を発揮するのが可倒式の風力発電設備だ。

 沖縄電力が2009年に日本最南端の波照間島に2基を設置したのに続けて、2011年には沖縄本島から東へ400キロメートル離れた南大東島でも2基を稼働させた。風車の羽根は2枚しかなく、1基あたりの発電能力は0.25MWと小さいものの、強風時には地面まで倒せる構造になっている(図4)。

minamidaito.jpg 図4 「南大東可倒式風力発電設備」の風車を傾倒した状態。出典:沖縄電力

 こうして沖縄県の再生可能エネルギーの導入量は着実に増えてきた。最も多いのは太陽光発電で、その次が風力発電である(図5)。全国で最下位だった順位も香川県を抜いて46位に上昇している。

ranking2013_okinawa.jpg 図5 沖縄県の再生可能エネルギー供給量。出典:千葉大学倉阪研究室、環境エネルギー政策研究所

 さらに2030年に向けて、太陽光と風力、海洋温度差発電が拡大していく。沖縄県が設定した目標では、2030年度に県全体の電力使用量のうち13.5%を再生可能エネルギーで供給するシナリオを描いている(図6)。特に離島の電力は100%を再生可能エネルギーに転換する意欲的な計画だ。

 石油に依存する従来のエネルギー供給体制を抜本的に変革して、自然と共存できる再生可能エネルギーを生かした「エコアイランド」へ、沖縄県の取り組みはダイナミックに進んでいく。

energy_scenario.jpg 図6 再生可能エネルギーの導入目標(2030年度に離島の電力使用量の100%を再生可能エネルギーに転換。加えてシナリオIIでは離島以外の電力使用量の20%も転換)。出典:沖縄県商工労働部

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2015年版(47)沖縄:「小さな離島で再生可能エネルギー7割へ、台風を避けながら風力発電と太陽光を」

2014年版(47)沖縄:「島のエネルギーをCO2フリーに、石油から太陽光・風力・バイオマスへ」

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