関西の冬の節電効果が拡大、気温が低くても電力の需要は減る電力供給サービス

電気料金を値上げした影響もあって、関西の節電が着実に進んでいる。冬の電力需要が増加する12月〜2月の最大電力が前年度の実績を下回った。最低気温が平年より低く推移したにもかかわらず、企業と家庭の双方で需要が減少した。ただし工場などの産業用だけは増えている。

» 2014年03月06日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 関西電力がまとめた今冬の電力需要の結果を見ると、最大値を記録したのは2月14日(金)の10時〜11時で2523万kWだった(図1)。2月中旬は大阪の気温が平年と比べて2度ほど低く、14日には最低気温が0度まで下がった。それでも関西電力が国に報告していた2月の予測値(2576万kW)を53万kWも下回っている。供給力は2655万kWを確保していたため、需給率は95%で収まった。

図1 2013年12月〜2014年2月の最大電力と気温。出典:関西電力

 冬の電力需要の特徴として、朝の9時台と夜の18時台にピークになる。企業と家庭の双方で暖房の使用量が増加するためだ。この2つの時間帯の最大電力と気温の関係を関西電力が分析したところ、朝の9時台の最大電力が前年から約20万kW減って節電効果が大きく表れている。震災前の2010年度と比べると約170万kWの減少で、7%の節電効果に相当する(図2)。

 前年からの削減量を用途別に分けると、家庭用が約5万kW、オフィスなどの業務用が約10万kW、工場などの産業用が約5万kWだった。2010年度との比較では家庭用が約35万kW、業務用が約60万kWに対して、産業用は約75万kWと最も大きな削減量になっている。

図2 9時〜10時の最大電力の分布。出典:関西電力

 ところが夜の18時台になると最大電力は前年とほとんど変わらず、2010年度からは約150万kWの減少にとどまった(図3)。家庭と業務用の需要は前年よりも少なくなったが、産業用が約15万kWの増加に転じた。製造業を中心に景気が回復したことを受けて操業時間が延びたためと考えられる。

図3 18時〜19時の最大電力の分布。出典:関西電力

 関西電力が2013年5月に電気料金を値上げして、利用者の負担は大きくなった。家庭とオフィスは節電効果の拡大によって値上げの影響を抑えられているが、工場は逆に使用量が増えて電気料金が大幅に上がる状況になっている。省エネ機器や自家発電設備の導入を含めて早急な対策が必要だ。

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